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- 19/07/28 12:01:51
早産で生まれた長男を亡くした京都市上京区の奥村由乃(よしの)さん(50)が、低出生体重児(体重2500グラム未満)向けの肌着の製作に取り組んでいる。平均的な新生児サイズの服が合わず、つらい気持ちになったことがきっかけ。「体に合った可愛い肌着一つで親は気持ちが明るくなる」と話し、多くの人に知ってもらうため、資金をクラウドファンディング(CF)で募っている。
奥村さんは2011年、長男の蒼介ちゃんを出産した。体重は1153グラムで心臓にも疾患があったため、京都府立医大病院(同区)の新生児集中治療室(NICU)に入院。その際、病院で用意された柄のない白い肌着を着せると、サイズが大きすぎて、身長約40センチの蒼介ちゃんの体が余計に小さく見えた。
「大きく産んであげられなかった」。自分を責めて毎日泣いていたという奥村さんは、ある時、母が手作りしてくれたアヒル柄の小さな肌着を着せてみた。体にぴったりで柄も似合っていて「気持ちが少し明るくなった」と振り返る。
蒼介ちゃんは1歳半で亡くなったが、「お世話になったお礼に」と府立医大病院に手作りの肌着約300着を寄贈。17年5月に低出生体重児の肌着などを製作する事業所「sousourire(ススリレ)」(京都市中京区)を設立した。
府立医大病院は、この肌着を正式採用。同府京田辺市のパート従業員、小川あゆみさん(38)は17年5月に生まれた長女ひかりちゃんに着せ、「ウサギ柄や水玉模様など、可愛い肌着で心が救われた」と言う。ひかりちゃんは生後24日で亡くなったが、「今も写真を見返すと『似合っていたな』と思い出し、幸せな気持ちになる」と明かした。同病院の看護師、中島輝美さん(43)は「袖から手が出て赤ちゃんがしっかりとして見える。白色が多い院内で彩りもスタッフに好評」と話す。
奥村さんは全国のNICUにサンプルを送る資金をCFで募っている。8月5日までに70万円の確保が目標。手間賃や生地代など材料費を差し引くと、利益はほとんど出ないというが、「小さな肌着がNICUに広まるきっかけになればうれしい」と語る。寄付はサイト(https://fanfare.medica.co.jp/funding/projects/sousourire/)から。【国本ようこ】
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