- なんでも
- 慶応
- 19/06/29 12:51:06
<被災地のいま>(7)風評/拭えぬ抵抗感、地元でも
福島県内の農家らは「足元」からの風評にも苦しんでいる。
南相馬市原町区の増山一郎さん(68)は、リーフレタスをハウス栽培する。原発から約26キロ。事故直後は業者に敬遠され、大量廃棄に追い込まれた。
今は事故前の8割まで生産量を戻したが、地元の学校給食での使用自粛が続いている。「放射性物質は検出されていない。どうしたら食べてもらえるのか」。もどかしさが募る。
南相馬市の学校給食はかつて、市内産を含む県内産の食材使用率が50%を超えた。現在、市内産の採用は皆無。コメは新潟、この時期のレタスは香川など、ほぼ県外から調達している。
背景には保護者の不安がある。市教委の昨年のアンケートで「市内産を避けてほしい」との回答が38%に上り、容認派の47%に迫った。「不安で家でも使わない。給食でも使わないでほしい」「地元農家のため活用を」との声が混在する。
市内の給食では食材の放射性物質検査を徹底している。汚染食材が入り込む可能性は低いが、青木紀男市教育長は「地場産の採用は将来的な課題。アンケート結果を見れば慎重にならざるを得ない」と説明する。
同じ浜通りでも対応は一様ではない。南相馬市の北にある相馬市と新地町は、4月から学校給食に地場産米を使う。アンケートで導入に否定的だった保護者は両市町とも10%未満。
原発事故の避難区域外にあり、プラントから離れていることが抵抗感を薄めているとみられる。
地元でさえ拭い切れない風評。県外となればなおさらだ。仙台市の市場関係者は「給食食材を扱う仲買業者は、まだ福島産を避ける傾向にある」と話す。
福島県商工会連合会は首都圏の消費者500人を対象に、県産加工品に関する意識調査を続けている。「原発事故後に買わなくなった」との回答は全体の3割を占め、この3年間大きな変化は見られない。
連合会は「福島産に抵抗がある層が固定化しているようだ」と指摘。「原発の汚染水漏れなどが報道されるたびに、悪いイメージが喚起される」と憂う。
生産者からは「地元で風評が収まらなければ、よその風評も消えない」との嘆きも漏れる。「足元」と「遠方」の風評。解消には想像以上に長い時間がかかるかもしれない。
http://fukushima.com
ママスタ民はなぜ食べないの?
- 0 いいね