独身の人の老後 孤独死の現実

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  • 19/03/23 12:51:22

近年増え続けている孤独死。その増加に伴い、特殊清掃員の数もまた上昇の一途をたどっている(筆者撮影)

特殊清掃、略して"特掃"――。遺体発見が遅れたせいで腐敗が進んでダメージを受けた部屋や、殺人事件や死亡事故、あるいは自殺などが発生した凄惨な現場の原状回復を手がける業務全般のことをいう。そして、この特殊清掃のほとんどを占めるのは孤独死だ。拙著『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』の中から、近年増え続ける孤独死の特殊清掃の一部をご紹介したい。

関東近県の某市――。特殊清掃人の上東丙唆祥(じょうとう ひさよし・46歳)は、肩のあたりまでうず高く積もった大量のごみの山と格闘していた。

あまりにも悲惨な「孤独死」現場
2階への外階段を上り、奥まった部屋の玄関を開けると、まず鼻をついたのは、あまりにも暴力的なアンモニア臭であった。室内は、湿り気を帯びていて薄暗く、視界が悪い。

床を見ると、4リットルの特大の焼酎のペットボトルが、いたるところに無造作に転がっていた。ペットボトルの中身は、どれもが淡黄色に輝く液体で並々と満たされていた。その一部には、キャップが空いているものもある。そこから思わず吐き気をもよおすほどの強烈な異臭が漏れ出ていた。

特殊清掃業者にとって、孤独死の最も多く発生する夏場は書き入れ時だ。中には1日何現場もこなし、年間利益のほとんどを稼ぎ出す業者もいる。この特殊清掃需要の背景にあるのが、右肩上がりで増え続けている孤独死である。

孤独死とは、家でたった1人、誰にも看取られずに亡くなることだ。私が同行した2018年夏は、異常気象が続き、孤独死の特殊清掃の数が、ケタ違いに増えていたのだ。

特殊清掃業者が手がけるのは、もちろん孤独死だけではない。火事現場、自殺現場、殺人現場など多岐にわたる。しかし、その中でも近年圧倒的に多いのが、孤独死である。

孤独死と特殊清掃業者の数は、関連が深い。特殊清掃業者は、孤独死と比例するかのように、年々その数を増やし続けているからだ。

2018年5月14日付の毎日新聞によると、5000社以上が加入している特殊清掃の業界団体である「事件現場特殊清掃センター」が、民間資格である「事件現場特殊清掃士」の認定制度の施行を始めた2013年から、5年で15倍に膨らんでいるという。

孤独死が発生すると、近隣住民はその強烈な臭いに慌てふためき、大騒ぎとなる。また、マンションの管理会社や大家はその資産価値の下落を恐れ、すぐに臭いを消してくれと、彼らに出動を依頼する。

上東は、乱雑に転がっていたペットボトルの異様な臭いを放つ液体が、この部屋で1カ月前に亡くなった住人の男性(65歳)の尿だというのにすぐ気づいた。そう、男性はこの焼酎のペットボトルに、何十本、いや、何百本も自らの尿をためこんでいたのだ。

こんもりとしたゴミの山の中から、尿入りペットボトルがニョキッと斜めに頭を出していた。そして、どこにもエアコンはない。

部屋の様子には人間性が現れる
上東によると、この部屋を借りていた住人はもともと糖尿病の気があり、65歳で心臓発作で亡くなり、死後1日で勤務先の上司によって発見された。

「何らかの持病があったにせよ、この人の死因は暑さが関連してるだろうね。これだけの暑さだと、ゴミも相当な熱を持つからね。サーモグラフィーで見ればわかると思うけれど、この部屋は夜でもかなりの温度だったと思う。よく、火事にならなかったよね。

部屋ってその人のすべてが現れるの。心疾患系にかかった人は、まずリビングから汚れてくることがほとんどだね。リビングって、いわば心臓部分ですべての部屋につながるでしょ。逆に精神が病みだすと、キッチンとか水回りが汚くなってくるんだ」

高温注意情報が連日流れる暑さの中、男性は凄まじい尿臭に包まれたゴミの山の中に、エアコンもなく、ただ体を横たえていた。

>>1
続く

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    • 19/03/23 13:25:21

    >>1そんなことないよ。普通に家族がいて仲良く上手く付き合っていたらこんな孤独死になんてならないでしょ?

    • 4
※コメント欄のパトロールでYahoo!ニュースのAIを使用しています

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