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- 19/02/16 11:37:55
「天空の山城」と呼ばれる岡山県高梁市の備中松山城で、昨年7月の西日本豪雨後に1匹の猫が観光客を呼び寄せている。名前は「さんじゅーろー」。豪雨で城周辺の道は土砂崩れで塞がれ、復旧後も入場者数が大きくダウンしたが、猫の人気で持ち直した。市観光協会から「城主」に任命され、立派に招き猫役を務めている。
さんじゅーろーは推定3歳の雄。同市内の難波恵さん(40)が自宅で飼っていたが、昨年7月初旬の豪雨後に逃げ出した。近くの備中松山城に姿を見せるようになったのは同月下旬。城のスタッフが餌をやると、翌8月には本丸付近へ「入城」するようになった。
観光客に人懐っこく甘える姿がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で人気になり、市観光協会も「猫城主」として売り出すことに。備中松山藩出身の新選組隊士・谷三十郎にちなんで名前を付けた。飼い主の難波さんも報道を通じ、さんじゅーろーの居場所を知ったが、協会の熱意を受け、託すことにした。
ただ、困ったのがさんじゅーろーの「脱走癖」だ。観光協会事務局長の相原英夫さん(49)は「昨年11月、車から降ろそうとした一瞬の隙(すき)に逃げ出しまして」。観光協会がチラシ300枚を作製して捜したところ、19日後に約300メートル離れた場所で見つかった。
さんじゅーろーの日課は、午前10時と午後2時に行う約30分間の城内見回り(散歩)だ。ゆっくりと闊歩(かっぽ)する姿は城主そのもの。観光協会は再び逃げ出さないように、常にハーネス(胴輪)をつけ、夜間は事務所のケージに入れるなど万全を期す。
標高430メートルの山の上に建つ城は、秋から冬にかけて雲海に浮かぶ姿が人気の観光スポット。豪雨で一時、入場者数が前年比8割減に落ち込んだものの、猫人気で回復している。特に例年は閑散期の1月が前年比(無料開放日を除いた計算)の1・6倍と大幅にアップした。
城に向かう道は今も一部で通れないなど、豪雨の爪痕は残る。「豪雨後はお客さんを呼び戻すためにいろいろなことをしたが、うまくいかなかった。さんじゅーろー様々です」と相原さん。迷い猫から招き猫に変身を遂げたさんじゅーろーは今や城の救世主だ。
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