境界地に救護施設整備、隣接の市民困惑 事前相談なく【京都】

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  • 18/12/20 12:02:13


 京都市伏見区羽束師菱川町に整備される救護施設について、市境の向日市の住民が注視している。11月下旬にあった説明会では多くの出席者が不安の声を上げた。運営者の社会福祉法人は「制度から漏れた人を受け入れる最後のセーフティーネット」として開設へ理解を求める。救護施設はどんな役割を担っているのか。法人が大阪府吹田市に設置している施設を訪ねた。

■事前相談なし 戸惑い隠せず

 救護施設は、京都市の更生施設「中央保護所」の再整備事業に伴い、向日市上植野町との境界沿いの敷地で2020年に開設される。

 運営者が社会福祉法人みなと寮(大阪府河内長野市)に決まった8月、向日市は京都市から施設整備の報告を受けた。9月にはみなと寮の担当者が訪れ、説明会の開催意向が伝えられた。住民からの要望もあり、京都市と法人は11月23日、上植野町の上植野公民館で説明会を行った。

 会場には定員の100人を大幅に上回る市民が集まった。「なぜこの場所なのか」と設置理由を問う意見のほか、「施設近くは向日市側に住宅が多い。京都市が住民へ事前に相談すべきだったのでは」と対応を疑問視し、整備撤回を求める声もあった。

 上植野町自治連合会会長の藤田和男さん(64)は「施設が必要なのは理解しているが、急に浮上した話で住民はなかなか受け入れられない」と戸惑いを隠せない。京都市と法人は説明会を再度開くことを決めた。

 向日市は、11月上旬まで開設時期以外の詳細は伝えられておらず、住民に情報発信できなかったという。救護施設は法人が京都市内に設置するため、「向日市として京都市に意見を言うことはできない」とした上で「京都市と法人に市民の声を届け、丁寧な説明を求めたい」としている。

■吹田の施設「制度はざま埋める場」

 大阪府吹田市の阪急や大阪モノレールの山田駅から10分ほど歩くと、みなと寮が運営する救護施設「千里寮」(同市)がある。施設に入ると、白髪交じりの入所男性から「こんにちは」とあいさつを受けた。

 千里寮は千里ニュータウンの一画で2002年に開設された。現在の入所者は154人で、平均年齢は58・6歳。施設内では、歩行器や車いすを使う人もいた。刑務所からの出所者は2人。路上生活歴がある人は3割程度で、みなと寮の笹井信次事務局長は「むしろ高齢や障害で心身に不安があっても身内がおらず、行き場がない人を支える受け皿だ」と話す。

 福祉事務所の依頼を元に「集団生活が可能か」などの基準で施設が入所を判断する。入所後も規則を守らない場合は退所や生活保護の打ち切りとなるため地域でのトラブルは経験がないという。

 千里寮では就労に向けた軽作業が行われていた。館内を案内してくれた前嶋弘さんは大阪市内の救護施設で施設長を務める。「障害で発話や他人との交流が苦手な人の訓練。危害を加える方は入所対象ではなく病院が対応します」

 救護施設は生活保護法に基づいて設置される。笹井事務局長は「経済的困窮という点以外は対象者や原因を問わずに支える法律。制度のはざまにいる人を総合的に受け入れる唯一の場所」と強調する。身だしなみや生活習慣などの日常生活も含めて自立への礎をつくる。「施設がなければ生きていく場所がない人もいる」。地域の理解は必要として、京都市や向日市の住民に、今後も十分に説明を繰り返すという。

2018年12月19日 17時00分配信

https://s.kyoto-np.jp/local/article/20181219000098

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