【相撲】「貴乃花の乱」はなぜ勝ち目がないのか?日馬富士事件を組織力学で読む

  • なんでも
    • 1
    • みなみのうお
      18/10/05 01:39:03

     さて、こうした処分が下された後、営業本部長と先輩社員の2人を取り巻く環境はどう変わるだろうか。営利団体の組織経営論の視点から語るとすれば、事態は読者が抱くであろう正義感とは逆の方向に動く可能性が高い。

     普通の会社であれば、営業本部長は「次」か「次の次」の人事異動で閑職に飛ばされるだろう。一方で先輩社員の処遇は違う。停職期間が終わったことでみそぎは済んだとされる。むしろこんなことでケチがつき、本人に転職されては困るということから、速やかに昇進させるなど、会社は彼の地位を固める処遇を考えることになるだろう。理不尽に思うかもしれないが、会社というのは本質的には営利組織なのである。

     念のために指摘しておくと、角界における日馬富士の場合、引退という処遇はあり得る。年齢も年齢なので、もう横綱としての活躍が期待できないということであれば、逆にここで幕を引かせたほうが組織も本人も傷つかないという判断があり得るからだ。つまりこの判断も、相撲協会という組織としてのプラスとマイナスに鑑み、計算ずくで判断が下されるのが「組織防衛」のセオリーである。

    ■相撲協会にも当てはまりそうな「組織防衛」のセオリー

     ここまでの推論に「納得できない」という方は少なくないだろう。私も良い話だと思って解説しているわけではない。しかし相撲協会だけでなく、現実に多くの日本企業では不祥事をもみ消そうとしたり、内部告発者をつぶそうとしたりといった組織力学が働いている。現実には、こうしたことが日々行われているということをお話ししたつもりだ。

     それよりも興味深いのは、もみ消したりつぶしたりする側が、私利私欲からではなく「組織のため」という考えから、そのように動く点であろう。これは日本独自の社会風土である。だから、社員が法律遵守を建前にして反乱を起こし、古い経営の体質に問題提起を行ったとしても、会社組織には自衛本能が働く。

     相手が合法で来るなら、こちらもルールに則った対応で反乱分子をつぶしにかかろうというのが、日本の組織の自己防衛システムだ。前述したケースで営業本部長が会社に事後報告をしなかったことは、この点において、抵抗戦術上の明らかなミスだった。

     ミスを見つけた上層部から一斉に、「警察に届ける前にまず経営陣に報告すべきだろう」「おのれの目的のために事件を利用するのはいかんなあ」「一番かわいそうなのはまじめに働いている一般社員だ」といった告発者に対する総攻撃が起きるのは、組織防衛の力学からであり、将来的に組織に立てつく恐れのある他の社員たちへの見せしめである。

     ちなみに、今回の事件で一番かわいそうなのは、相撲協会の評議員議長が指摘する「場所中の力士たち」ではなく、ボコボコに殴られた貴ノ岩だということは、念のために強調しておきたい。

    (百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
    https://diamond.jp/articles/-/150625

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