ネコ助けようとして酸素欠乏か　有馬の観光施設で男性死亡

２１日夜、神戸市北区有馬町の観光施設「太閤の湯殿館」で突然倒れ、意識不明の重体となっていた男性が２２日午前、搬送先の病院で死亡した。同市消防局や有馬署などによると、男性は施設を管理運営する同市の官民組織「神戸観光局」職員新田和久さん（４８）＝同市垂水区。館内１階床下にある岩風呂の遺構で倒れたといい、酸素欠乏状態になった可能性があるという。

　同館は安土・桃山時代に豊臣秀吉が建設を命じたとされる岩風呂「湯山御殿」の遺構を紹介する神戸市立の施設。遺構は１階の床下にあり、透明のアクリル板で囲われている。清掃時などを除き、遺構内に人が立ち入ることはないという。

　同署によると、新田さんは２１日の営業が終了した午後７時３５分ごろ、館内に入り込んだネコを探していたところ、遺構内で動かなくなったネコを発見。助け出そうと遺構に入り、すぐに倒れたという。現場周辺で硫化水素など有毒ガスは検出されなかったが、酸素濃度の低下が確認された。ネコも死んでいたという。

　２２日午前も消防隊員や警察官らが現場を調べるため、施設に出入りする姿が見られた。近くに住む男性は「この施設で過去に事故は聞いたことがない。原因を究明して安心させてほしい」と顔をこわばらせた。

　同市は原因究明と対策が完了するまで、施設を休館する。