今回流出したのは、コンデンセートと呼ばれる揮発性のオイルです。コンデンセートは水よりも軽いために海水表面に浮きます。コンデンセートは重油などと異なり、水中で集積して油膜をつくりらないので、海の表面で拡散しながら、大気に蒸発していくことになります。コンデンセートは希釈されながら、数週間から数ヶ月ほどで分解されます。本州に到着する頃には、蒸発、希釈、分解が進んで、密度は低くなっていることでしょう。海洋微生物・毒物学者である、Louisiana State University のRalph Portier氏は、「今回の事故は、短期的な毒性が最大の関心事となる最初の石油流出(This may be one of the first spills where short-term toxicity is of most concern.)」と述べています。
No.64 いか巻
18/02/02 20:07:32
奄美大島沖で大規模な石油流出事故 海洋生態系への影響は?
(勝川俊雄・東京海洋大学 准教授)
https://news.yahoo.co.jp/byline/katsukawatoshio/20180202-00081143/
抜粋↓
結論から言うと、不確実性が大きく、事故の影響は良くわからない部分が多い。でも、長期的・大規模な影響についてはあまり心配無さそうです。
・影響は短期的
今回流出したのは、コンデンセートと呼ばれる揮発性のオイルです。コンデンセートは水よりも軽いために海水表面に浮きます。コンデンセートは重油などと異なり、水中で集積して油膜をつくりらないので、海の表面で拡散しながら、大気に蒸発していくことになります。コンデンセートは希釈されながら、数週間から数ヶ月ほどで分解されます。本州に到着する頃には、蒸発、希釈、分解が進んで、密度は低くなっていることでしょう。海洋微生物・毒物学者である、Louisiana State University のRalph Portier氏は、「今回の事故は、短期的な毒性が最大の関心事となる最初の石油流出(This may be one of the first spills where short-term toxicity is of most concern.)」と述べています。
ただ、これほど大量のコンデンセートが海洋に放出されたことはないので、その正確な影響については誰も分かりません。コンデンセートが海鳥やプランクトンなどに毒性を持つので、短期的には何らかの影響はあるでしょう。ただ、長期的・大規模な影響については、余り心配しなくても良さそうです。
流出石油が生態系に与える影響については、こちらを参考にしてください。
流出石油が環境に及ぼす影響(http://www.nite.go.jp/nbrc/industry/bioreme2009/knowledge/accident/accident_2.html)
(略)
・問題は濃度である
今回の事故は流出量は多いのですが、日本列島から距離がある上に、揮発性のコンデンセートが一月以上海水中にとどまる確率は低いため、本州沿岸まで到達するころには濃度は相当低くなっているでしょう。東日本大震災では、流出重油の量が46000KLを超えたと試算されています(http://www.pari.go.jp/unit/ydaku/research/dp3.html)。流出量は、今回の事故の半分以下なのですが、海岸付近から高濃度のまま流出したことを考えると、今回の事故の比ではないインパクトが三陸沿岸部ではあったはずです。では、東北の海は死んでしまったかというとそうではありません。先に示した海流の図を見て、原発事故の後にSNS等で盛んに拡散されたシミュレーションの図を思い浮かべた方も多いでしょう。実際に福島原発の放射性物質は太平洋を横断して米国にも達しましたが、米国での影響は軽微でした。汚染物質が流れて来るか来ないかではなく、問題は濃度なのです。
以上の情報を整理すると、今回の事故の影響は短期的・局所的だろうと考えることができます。「日本の海は終わった」というような終末的な事態にはなりません。一方で、「コンデンセートは揮発性なので影響がない」というわけではありません。これだけ大規模な事故が起こったのだから、短期的・局所的な影響はあるでしょう。ただ、これほど大量にコンデンセートが流出した前例がないので、専門家にも何が起こるかよく分からないのです。
(以下略)
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コメント
古トピの為、これ以上コメントできません
返信コメント
No.69 しゅうまい揚げ
18/02/03 07:52:01
>>68
>>64に専門家の見解書いてあるよ