- なんでも
- たこ串
- 17/12/12 11:43:04
日馬富士事件で露呈した相撲協会の「最悪マネジメント」
2017.12.12
■当事者一方の見解を鵜呑みにする人事マネジメントは信頼を損なう
日馬富士による貴ノ岩への暴行傷害事件が連日メディアを賑わしている。貴ノ岩サイドは鳥取県警による捜査中であることを理由に、日本相撲協会の聴取に応じない。一方、日本相撲協会は、日馬富士やその場にいた力士などから聴取を行い、中間報告を行った。また、日馬富士は早々と引退届を提出し受理された。
報道内容を見る限り、私には日本相撲協会の対応が不可解でならない。人事の観点から見ると、トンデモな状況だと言わざるを得ないのだ。
最も理解に苦しむことが、日本相撲協会の危機管理委員会が、いわば加害者側の聴取を鵜呑みにした中間報告をしていることだ。もちろん、中間報告であり、最終報告は異なる内容になるかもしれないが。
しかし、だからといって良い対応とは言えない。マネジメントする側が、加害者・被害者双方の言い分を聞かずに、一方の言い分のみを聞いた段階で見解を表明するのは大問題だ。それを行った時点で、マネジメントは「組織メンバーに対して公正な取り扱いをしていません」「当組織のマネジメントは不公正です」と宣言しているようなものだ。
一般企業で懲戒処分をせざるを得ない時、人事責任者が一方の当事者のみの事情や聴取内容を鵜呑みにして発言したら、人事の信用は失墜し、その後、人事は機能しなくなることだろう。
■加害者に加担してはならない 相撲協会の対応は最悪である
加えて中間報告の内容は、「貴ノ岩の態度が悪かったので、指導するつもりで日馬富士が暴行した」「貴ノ岩がすぐに謝っていれば、こうはならなかった」という意味の、まるで被害者に非があるかのような内容だ。
これでは、組織体制のトップに君臨するメンバー(加害者である横綱の日馬富士)を擁護し、組織の下部にいるメンバー(被害者である貴ノ岩)をないがしろにしていると思われかねないし、双方に非があり、やむを得ざる事態だったという方向に無理やり誘導しているように思われてしまう。
貴ノ岩サイドが聴取に応じないのだから、日本相撲協会が聴取できている日馬富士サイドの聴取内容から判断するのは当然だ、あるいは、やむをえないという見解もあるが、私はそうは思わない。
片方からしか聴取ができていない以上、「得られている情報は限定的であり、現時点で判断不能。警察の捜査結果の発表を待って、双方の聴取結果を踏まえて協会としての見解を述べたい」という意味のこと以外、何を言えよう。
マネジメントする側の日本相撲協会が加害者・被害者双方を公正に取り扱わず、加害者側に加担したと思われる発言をすること自体が、人事の観点から大問題なのだ。
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