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- 17/11/18 17:01:51
平和祈念像、市が設置拒否…「経費負担できぬ」
2017年11月18日 11時16分
米軍機墜落事故の悲劇を伝えようと制作されたブロンズ像(町田の米軍機墜落事件・平和像建立実行委員会提供)
米軍機墜落事故の悲劇を伝えようと制作されたブロンズ像(町田の米軍機墜落事件・平和像建立実行委員会提供)
東京都町田市で1964年に起きた米軍機墜落事故の悲劇を後世に伝えようと、市民団体が制作したブロンズ像の設置場所が決まらず、宙に浮いている。
市民団体側は、市への寄贈を要望したが、市は経費負担の問題などを理由に受け入れを断っており、像の行く末は不透明なままだ。
像の制作は、市民有志らでつくる「町田の米軍機墜落事件・平和像建立実行委員会」が発案。2013年秋頃から募金を始め、1000人以上から約320万円が集まった。
プラスチック製の原像は、町田市内の中学校で長く教べんを執った元美術教諭の日比野知三さん(八王子市在住)が制作し、14年末に出来上がった。母親が乳児を抱く等身大の母子像で、高さは約1・6メートル。この原像をもとに、千葉県柏市の鋳造所にブロンズ像化を依頼、今春に完成した。
墜落事故は1964年4月、町田市中心部で発生し、4人が亡くなるなどの大惨事となった。実行委の共同代表、岩崎俊男さん(71)によると、事故から50年になる14年前後から、「事故を風化させてはならない」という声が高まり、平和祈念像の制作に乗り出すことになった。
実行委は「事故を風化させたくないのは市も同じはず」と、現場近くの市有地への設置を期待し、先月4日に市に寄贈を申し出た。しかし、市からは同23日付で「将来にわたり、管理責任や経費の負担はできない」との回答が届いたという。
実行委によると、ブロンズ像は柏市の鋳造所の厚意で預かってもらっているが、期限を来年3月までに区切られている。民有地への設置も模索したが、地権者らに難色を示されることも多く、具体化はしなかったという。
実行委は近く、市に再考を求める要望書を提出する。しかし、市は「痛ましい事故が二度と起きてほしくない思いは同じだが、公的な場所に像を置くとなると、市民合意を得るのは難しい」(企画政策課)との立場を崩していない。
岩崎さんは「場所が決まらず、本当に困っている。事故を忘れないためにも、市に受け入れてもらいたいのだが……」と苦慮している。
◆米軍機墜落事故=町田市発行の米軍機墜落事故災害誌によると、1964年4月5日午後4時半頃に起きた。沖縄・嘉手納基地から訓練飛行で厚木基地(神奈川県)に向かっていた米軍機が故障し、国鉄横浜線原町田駅(当時)近くの商店街に墜落、炎上した。乳児を含む4人が死亡、重軽傷者32人、家屋27戸が全半壊した。事故現場は現在、駐車場として利用されている。
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