組み体操、「死亡は頭強打が原因」遺族が広島大学を提訴

　広島県三原市の広島大学付属三原中３年男子生徒（当時１４歳）が死亡したのは運動会の組み体操で頭を強打したのが原因だとして、両親らが学校を運営する広島大学を相手取り約９６００万円の損害賠償を求める訴えを広島地裁尾道支部に起こした。提訴は１日付。

　訴状によると、男子生徒は２０１６年６月１８日の運動会で「騎馬」と呼ばれる組み体操に参加した。直立して肩を組んだ６人の上に２人が四つんばいになり最上段に１人が膝立ちになる。組み上げた後、そのまま下の６人が歩いて退場する。男子生徒は２段目におり、退場門近くで騎馬のバランスが崩れ退場直後に上の生徒が落下した際に膝が当たり、後頭部を強打したという。

　運動会は最後まで参加し、翌日も自宅で過ごしたが、２０日午前３時ごろ頭の痛みや吐き気を訴えて救急搬送され、午前６時ごろ小脳出血などで死亡した。死亡診断書で原因は「不詳」とされたが、両親側は「組み体操以外に外傷を受けたとは考えられない。

練習や当日の状況から重大事故の発生が予見可能だったのに、十分な安全対策が取られていなかった」と主張している。

　同校は「訴状が届いておらず、訴訟の内容についてコメントはできない」とする一方、当時の状況について「映像記録に退場門の外の様子は映っていない。生徒への聞き取り調査でも騎馬が崩れた事実は出てこなかった」と説明している。