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戦後の日本史学界では、さまざまな奇説・珍説が登場した。騎馬民族征服王朝説、大化改新否定論、三王朝交替説などが典型例である。それらはしばらくもてはやされても、やがてうたかたのように消え去った。「聖徳太子虚構説」もそのような一過性の話題として消え去る運命にあった。
ところが、事情は不明だが文科省は、この珍説が歴史学界の通説であるととらえてしまったようだ。この説は日本国家を否定する反日左翼の運動に利用されているのであり、その触手が中央教育行政にまで及んだ結果である。
◆日本を精神的に解体させるのか
死後付けられたということを理由にその呼称が使えないとすれば、歴代の天皇はすべて諡号(しごう)(没後のおくり名)であるから、いちいち、大和言葉の長い名称を書かなければならず、歴史教育の用語体系は大混乱となる。そもそも歴史教育は歴史学のコピーではない。歴史教育には国民の歴史意識を育てる独自の役目がある。
聖徳太子抹殺の影響は古代史のみにとどまらない。明治以降発行された紙幣の人物像として最も多く登場したのは聖徳太子である。このことが象徴するように、聖徳太子は日本人の精神の支えとなる人物だったのだ。
聖徳太子の抹殺は日本国家を精神的に解体させる重大な一歩である。「日本を取り戻す」ことを掲げて誕生した安倍晋三政権のもとで見逃されてよいはずがない。
だが、まだ間に合う。文科省は学習指導要領の改訂案について、3月15日まで国民の意見をパブリック・コメントとして募集している。「聖徳太子の呼称を厩戸王に変えるな」という明確なメッセージを文科省に届けて、日本の歴史教育を救わねばならない。(拓殖大学客員教授・藤岡信勝 ふじおかのぶかつ)
産経ニュース
http://www.sankei.com/column/news/170223/clm1702230006-n1.html
電子政府の窓口(パブリックコメント募集中)※2017年3月15日まで
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000878&Mode=0- 0
17/03/02 20:55:25