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ヤマト以外にアマゾンの荷物を処理できる宅配会社は無い
このように、年間2億5千万個の荷物を預けてくれるアマゾンは、宅配業者から見ると超々大口顧客であるが、しかし優良顧客では無いようだ。
佐川急便がアマゾンから撤退したとき、荷物の宅配料金は一個200円程度であったようだ(参照:CAKES)。佐川急便は一割の値上げ打診で交渉決裂したとのことなので、恐らく、現在のヤマト運輸も一個200円程度と思われる。
ヤマト運輸の個人向け宅配料金は、平均的な段ボールサイズ(80cm)で関東-関西間が980円である。ヤマト運輸でアルバイトをしていたからわかるが、個人向けと法人向けの荷物で宅配のオペレーションは同じである。そんな低価格で2億5千万個もの荷物を扱えば、利益も減るし、ドライバーも疲労困憊である。
だから、ヤマト運輸はアマゾンに値上げ要求をしている。だが、「アマゾンはドライな外資系だから、また次の宅配会社を探すだけ。値上げ交渉は無理」と言う意見がある。確かに佐川急便がわずか20円の値上げに失敗したのだから、一理あるようにも見える。
しかし、それは2013年当時の話だ。2017年現在、アマゾンはヤマト運輸しか選択肢が無い。
まず、年間2億5千万個の荷物を扱える業者が、ヤマト運輸と佐川急便しかいない。4位以下はもちろん、業界3位の日本郵便ですら約5億3千万個の荷物数である。50%以上の宅配量増大を受けることは無理だろう。
では、佐川急便がもう一度アマゾンの荷物を扱う可能性はあるか。これもほとんど無いだろう。
佐川急便はアマゾンの荷物を取り扱わなくなった後も、順調に荷物数が増えている。そんな中でもドライバー不足に苦しんでおり、駐車違反の身代わり出頭、イライラして荷物放り投げ(http://www.news24.jp/articles/2016/12/27/07350137.html)と、現場はギリギリの状態で頑張っている。再びアマゾンの荷物を受け入れることは無理だ。
では、ヤマト運輸とアマゾンとの交渉が決裂し、ヤマト運輸が現在の条件で荷物を扱い続ける可能性はどうか。これも無いだろう。ヤマト運輸は2016年の決算で過去最高の荷物取扱数だったが、営業利益が下がった(参照:東洋経済オンライン(http://toyokeizai.net/articles/-/29492))。また、労働組合から「ネット通販会社など割引料金を適用する大口顧客に対して値上げを求め、交渉が折り合わなければ荷受けの停止」を求められている。
つまり、ヤマト運輸にとってアマゾンとの交渉が決裂し、アマゾンの荷物運送から撤退すれば経営・従業員側の双方にとってハッピーな結果になるのだ。
ヤマト運輸にとってアマゾンとの値上げ交渉は、失うものがないどころか、得るものしかない交渉だ。
しかし、アマゾンは最早ヤマト運輸以外に頼ることのできる宅配会社がいない。ドローンでの自動配達の検討などもしているようだが、流石にかなり先の話だ。
ヤマト運輸とアマゾンの値上げ交渉は、選択肢の無いアマゾンが圧倒的不利である。アマゾンは値上げに応じざるを得ないだろう。
ヤマト運輸はこの際、一割アップとはセコイことを言わず、2倍の一個400円といった大幅な配送料アップを要求すれば良い。- 1
17/03/12 13:50:40