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僕が通ってた〝ちぇるちぇるランド〟の高校では、入学するとすぐに離島で合宿研修があるんですね。もう初日からみんなテンション上がっちゃって、男女15人くらいのグループで夜中に宿を抜けだし、山のほうへ行ってみようってことになりました。
最初の予定では、山を登りきった崖から海を見下ろそうと思ってたんですけど、実際に上まで行ってみたら背の低い木と身長の高さぐらいの草がジャングルのように密集してて、とてもじゃないけどその先に進めない。諦めて帰ろうとしたんですけど、ひとりの男の子が、「せっかく来たんだから、この先がどうなっているのか行けるところまで行ってみるよ」と、草木の間を分けいったんです。勇気あるなぁ、と思いながら彼の後ろ姿を見送りました。
ところがしばらくしたら、「ギャーーッ!!」と、すごい悲鳴を上げながら、怖い顔をして男の子が戻ってきたんです。ものすごい恐怖心に襲われて、みんな悲鳴を上げながら山道を駆けおりたんです。その途中、ふと後ろに何かの気配を感じて肩越しに振りむくと……草むらの中にものすごく赤く光る髪の毛のようなものがファサファサファサ……と揺れるのが見えました。まるで隙間の埃を取るナイロンブラシのような細かい毛です。次の日、ひとりの生徒が急病で本島に帰されることになりました。何とそれは草むらに分けいって進んだ例の男の子です。吐き気が止まらないらしく、顔色は青白く、見るからに具合が悪そうでした。じつは彼を見送った僕自身もかなり気分が悪い状態だったんです。しかも前の日の夜、あの赤い髪の毛を目撃したすぐ後からどんどん具合が悪くなっていたんです。
ムー2016年9月号
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16/11/18 23:33:05