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朝日新聞
精子無断処分「真相を明らかにして」 提訴決めた会社員
北村哲也さん(31)は交際中、子を持つことに消極的だった。
周囲の勧めで精子を凍結保存したものの、同じ病気になるのではと恐れたからだった。
「それでも子どもが欲しい」。
妻の強い思いがうれしくて、覚悟を決めた。
12年12月にセンターの医師とやりとりした夫婦は、
「猶予はできた。
勝手に廃棄されることはないだろう」と安心し、2人で精子の移管先を探し始めた。
インターネットや友人からの情報を頼りに、20件超の施設に問い合わせた。
ようやく受け入れ可能な大阪市内の診療所を見つけたのは、結婚直後の15年3月末。
翌月、弾む思いでセンターに問い合わせた。
折り返しの電話で
「液体窒素が溶けているようだ」。
理解できなかった。
隣にいた妻は、声を上げて泣いた。
凍結精子廃棄には本人同意が不可欠 専門医「命と同じ」
「抗がん剤治療などで精子を作る機能が影響を受ける恐れがある」「精子の数や運動量が少なく、子どもができにくい」「体に障害がある」……。
こうした事情を抱えた人にとって、精子の凍結保存は望みを託すために欠かせない医療技術だ。
液体窒素でマイナス196度に凍らせた精子は、半永久的に保存可能。
厚生労働省によると、精子を保存する際の報告義務や法律などはなく、件数などは不明という。
医療現場は関係する学会が定めたルールをもとに運用している。
提訴を決めた北村さん夫妻。
「せめてひとりだけでも子どもがほしかった」
凍結精子の保管容器(中央下)。左隣の白い容器に入った液体窒素を補充していた=大阪市立総合医療センター提供- 0
16/06/03 06:48:03