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- 16/03/31 01:23:53
猫が人を元気にする理由は寄生虫によるマインドコントロールかもしれないという仮説(欧米研究)
猫をみると心が癒される、元気になる。実際にネット上では毎日無数の猫画像や猫動画が公開されている。実はこの「猫の癒し効果」、この2~3年、欧米の研究者からネコのもつ不思議な力の源泉が、病原体の原虫にあるのでは、とする説が提唱されるようになったそうだ。
トキソプラズマは寄生性原生生物の1種で、感染するとトキソプラズマ症を引き起こす。健康な成人の場合には、感染しても無徴候に留まるか、せいぜい数週間のあいだ軽い風邪のような症状が出る程度。幼い頃から猫と接触している人は体の中に抗体を持っており免疫系により抑え込まれるため大きな問題とはなりにくいが、抗体を持たない妊婦が感染すると流産を起こす場合がある。
健康なネズミはネコの尿の臭いには敏感で、ネコの出没する場所は避けて行動する。天敵のネコに食べられないような回避行動を身につけたのだ。ところが、ネコのフンを食べることなどでトキソプラズマに感染したネズミは、行動が変わってしまう。ネコの尿の臭いに誘われるようにうろうろ徘徊して、ネコに食べられやすくなる。食べられれば、原虫はふたたびネコの体内に戻って繁殖の場を確保できる。つまり原虫は、繁殖のためにネズミを操っているのだ。
だが、なぜネズミの行動が変わるのかはナゾとされてきた。近年トキソプラズマのDNAの解析が進んだ結果、脳内物質のドーパミンの合成に関与する酵素の遺伝子があることが突きとめられた。この原虫に寄生されたネズミは、ドーパミンを分泌して「威勢よくなって」をネコを恐れなくなったというのが仮説である。
そして、人もまたトキソプラズマに操られて、ドーパミンによって脳内の化学物質の伝達の一部が変えられている、とする研究論文が増えている。トキソプラズマの慢性感染で人の行動や人格にも変化があらわれ、ときには精神疾患も引き起こすというのだ。まっとうな研究者がかかわっているので「トンデモ説」と無視できないところがミソだ。
ドーパミンは、脳内で神経伝達物質の1つとして極めて重要な役割を果たしている。「脳内麻薬」ともいわれ、人が快感や感動を覚えたときに脳内で放出される。スポーツ観戦で興奮したり音楽を聴いて感動したりしたようなときに、脳内でドーパミンが放出されることは実験的に確かめられている。
ドーパミンの役割は、興奮作用のほかに行動を起こす場合の動機づけとして分泌されることも、明らかになってきた。人は無意識のうちに行動を起しているようでも、それぞれの状況でその行動が必要だと判断して動く。このときに、脳内でドーパミンが分泌されるのだ。
トキソプラズマに感染した人は、世界人口の3分の1程度と推測されるが、地域によって大きな差がみられる。ガーナでは92%もあるが、日本人では20~30%と推定される。ネコの放し飼いや生肉を扱うなどの習慣や食文化の差が大きいとみられる。
スタンフォード大学の神経科医パトリック・ハウス博士は国民のトキソプラズマ感染率とサッカーの強さには相関関係がみられるという面白い見解を示した。ブラジル(感染率67%)、アルゼンチン(52%)、フランス(45%)、スペイン(44%)、ドイツ(43%)など、強豪国は感染率が高いというものだ。
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