「日本最高」というTV番組の増加に香山リカ「ナショナリズムとしては末期的な状況です」週刊朝日

匿名

匿名

15/01/28 16:27:11

近ごろは、海外で暮らす日本人を取り上げた番組も多い。
共通するのは“日本を持ち上げる”妙な感じだ…。
「朝の情報番組でも、外国人旅行客に日本のいいところを聞くというコーナーがある。好きで日本に来ているのだから、いいことを言うに決まっているのに、視聴者から評判がよく、数字がとれると聞きます」
そう話すのは、精神科医の香山リカさんだ。

「日本最高!」というポジティブすぎるテレビ番組を「ポジナショナリズム」と呼んで論評する。
「プロ野球ファンが、絶対に勝てない状況で前向きに勝利宣言することを『ポジる』という。マイナス要因にまったく目を向けず、日本は世界から愛されているという根拠のない自信をもっている。ナショナリズムとしては末期的な状況です」

外国人が日本を語る形式の番組は過去にもあった。
1998年から4年間放送された「ここがヘンだよ日本人」(TBS系)だ。
しかし香山さんは「今、こんな番組を作ったら、自虐番組だとか反日番組だとか言われて大変なことになるでしょうね」と苦笑いする。

「日本を批判する番組は、やっぱり今の時代と逆行していると思います」
そう語るのは「世界ナゼそこに?日本人」(テレビ東京系)の総合演出を担当するプロデューサーの水谷豊さんだ。
秘境と呼ばれるような遠い異国で暮らす日本人に密着する内容。
このように、海外で暮らす日本人を紹介するバラエティー番組も、ここ数年で急増していて
「世界の村で発見!こんなところに日本人」(テレビ朝日系)、「世界の日本人妻は見た!」(TBS系)などがある。

「10年くらい前は、あまり知られていない国を取り上げても視聴率はよくなかった。今はそんな国でも数字がとれるから不思議ですね」(水谷さん)
世界の隅々にまで目を向けた番組は一見グローバル化の表れのようだが、日本の内側を見つめ直す意図があるという。
「海外で暮らす日本人は、望郷の思いをもって生活しています。味噌汁がまったく飲めない場所で、味噌汁を飲んで自国を懐かしみ、その良さを再認識する感覚。こうした日本人心をくすぐるものを視聴者は求めているのだと思います」

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