- ニュース全般
- 匿名
- 14/11/07 07:12:50
母親の母乳の出の悪さや病気などで母乳をもらえない早産児らに、病気の予防のため、別の女性の母乳を与えるもらい乳を、全国の新生児集中治療室(NICU)の25%が実施していることが、厚生労働省研究班による初の実態調査で分かった。
殺菌していないもらい乳を通じ、早産児が感染症にかかったとみられる例もあり、研究班は今年度中に殺菌の手順などをまとめた運用基準を策定する。
松山市で10日から始まる日本未熟児新生児学会で発表される。
小さく生まれた早産児の場合、母乳は人工乳と比べて、命にも関わる腸炎の発症を減らしたり、消化吸収機能の発達を促したりする効果が高いため、なるべく早くから母乳を与えるのが望ましい。
調査は今年7月、NICUがある全国179施設に実施した。回答した126施設中、32施設(25%)がもらい乳を使っていた。
もらい乳は、冷凍保存したものが早産児に提供されるが、低温殺菌していないため、早産児にウイルスや細菌が感染する危険性がある。今回の調査では、もらい乳が原因と考えられる感染症の有無を尋ねたところ、早産児が感染すると重症化するサイトメガロウイルスと、薬が効きにくいタイプの大腸菌の2件が報告された。
米国や英国など多くの国では、専用装置で低温殺菌し、感染の危険がない母乳を提供する母乳バンクが専門組織や病院単位で整備されている。しかし、国内の取り組みは遅れており、専用装置を備えた施設は昭和大江東豊洲病院(東京都江東区)のみだという。
調査をまとめた同病院の水野克己小児内科教授は、「早産児は年々増えており、母乳バンクの需要は高まっている。安全な母乳を提供できるシステムを広めたい」と話している。
読売新聞
- 0 いいね