• No.1 匿名

    13/12/09 17:29:02

     4季連続出場の甲子園で見せた森のおとこ気は、本物の勇気だった。西武から1位指名を受けた今秋ドラフトの直後、11月の通学途中、JR新今宮駅で目の不自由な男性を助けていたことが分かった。

     関係者によれば、白いつえを頼りに駅のホームを歩いていた男性が、誤って線路に転落。大阪・堺市の自宅からの通学路でその場に居合わせた森が、チームメートの久米と線路に降り、男性がホームに上がるのに手を貸した。

     同駅は大阪環状線管内で、南海本線の新今宮駅とも隣接。ラッシュ時は5分前後の間隔で電車が行き来する。相当な勇気、行動力、体力がなければなし得なかった、とっさの救出劇だった。森と久米はチームの主将、副将を務め、今夏も4季連続の甲子園にチームを導いた。高校最後の大会だった東京国体優勝後、森は「一緒にチームをつくり本当に久米に支えられた」と明かした。そんな強い信頼関係で結ばれた2人の勇気ある行動がなければ、男性は命の危険にさらされていた。

     JR西日本側は「高校生ご自身の強い希望で、この件に関してはいっさいお話しすることはできません」と、詳細を明かさなかった。森は、阪神藤浪とバッテリーを組んで昨年の甲子園で春夏連覇。2年連続高校日本代表の正捕手も務め、西武から1位指名を受けた。楽天1位の桐光学園(神奈川)・松井裕樹投手(18)と並ぶ、知名度NO・1の高校生だ。人命救助とはいえ、話題が先行することを嫌い、2人は沈黙を守ってきた。きょう、2人に感謝状が贈られる。

     この日は同期生と、大東市の学校グラウンドで「第29期生を送る会」に出席。下級生、家族らとソフトボールの引退試合に興じた。森と久米はそれぞれ3年生チームの敵、味方に分かれ、決勝で対決。森は「(打席が回ったら)オレ、決めてしまうで」と予告したが、言葉通りのサヨナラ弾で優勝に貢献した。その後、前主将は後輩に向かい「力を合わせて来年の夏は甲子園、日本一を目指して下さい」と呼びかけた。

     グラウンドでは頼れる主将だった。私生活ではおとこ気あふれる高校生。こんな頼もしい18歳が、新生ライオンズに加わる。

     ◆森友哉(もり・ともや)1995年(平7)8月8日生まれ、大阪・堺市出身。5歳から「庭代台ビクトリー」で野球を始め、東百舌鳥中では「堺ビッグボーイズ」に所属。大阪桐蔭では、1年秋からベンチ入りし、2年時には史上7校目の春夏連覇を達成した。甲子園通算は14試合に出場し、打率4割7分3厘、11打点、左打者では歴代最多の5本塁打をマーク。国体も2、3年時に連覇した。また今年の18UW杯(台湾)では、高校日本代表の主将を務め、準優勝に導いた。高校通算41本塁打。50メートル走6秒2。遠投100メートル。170センチ、80キロ。右投げ左打ち。

     ◆大阪環状線 大阪駅を起点・終点とし、西九条、天王寺、京橋などの主要ターミナルなど19駅を環状に結ぶ大阪の中心路線。総路線距離は約21・7キロ。時計回りの外回りと、反時計回りの内回りがある。朝の通学時間帯と重なる午前7時台は、新今宮駅に外回り、内回りとも17本が停車。日中でも約4分に1本間隔で運行されている。

     [2013年12月9日7時43分 日刊スポーツ]

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