- ニュース全般
-
>>299
■4.進軍の道すがら■
軍人(いくさびと)
すすむ山路をまのあたり
見しは仮寝の
ゆめにぞありける
明治天皇は夢の中で、我が兵士らの行く山路の様子を見られる事もあった。
その進軍の道すがら、敵兵の死体にそっと花を手向ける者もいた。
進軍の道すがら
(陸軍少将 中村寛)
道すがら
あた(敵)の屍(かばね)に
野の花を一もと折りて手向けるかな
敵として戦っても、戦い終われば、人として「いつくしむ」事を忘れてはならぬ、という天皇の次の御歌を体現した武人の情けであった。
国のため
あだ(仇)なす仇はくだくとも
いつくしむべき事な忘れそ
■5.満洲の寒さ■
戦場となった満洲の寒さは厳しい。
しかし、その寒さにも兵士らがまず思うのは、故郷に残した家族の事であった。
このごろ
寒さ一入(ひとしお)に
厳しければ故郷に病める
母の御身の上を思はれて
病なき
我だに寒しこの頃は
いためる母のいかがあるらむ
その寒さについて明治天皇は次のような御歌を詠まれている。
いたで(戦傷)おふ
人のみとりに心せよ
にはかに風のさむくなりぬる
急に寒さが増して、即座に思われるのは、戦傷をおった兵士らの看取りであった。
寝覚めして
まづこそ思へつは
もの(兵士)のたむろ(集まっている所)の
寒さいかがあらむと
目が覚めて、朝の寒さにまず気づかわれるのは、兵士らの事であったのである。
続く- 0
13/03/28 18:31:26