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- 09/01/13 10:34:44
小児ガンの子供と家族のための専門病院を大阪府茨木市に設立する準備をNPO法人「チャイルドケモハウス」が進めている。
小児ガンは長期入院が必要で子供や家族の負担が極めて大きい。建設するのは自宅と同じような環境で家族とともに治療に専念できる夢の病院。
平成23年の開設を目指している。
事務局次長を務める萩原さんは四年前にかわいい盛りの二歳半の次女を白血病で亡くした。生後10ヶ月で発症し、萩原さんは長女を両親に預け大学病院で闘病する次女に付き添った。治療で抵抗力が落ちている為、幼いきょうだいとの面会は制限される。大好きな姉の写真をじっと見ながら「おねえちゃん…」とつぶやく次女。寂しい思いは長女も同じ。「家族が離れ離れになる辛さが闘病生活をもっと苦しいものにします」と萩原さん。プレイルームで気晴らしさせてやりたくても、他の子供が風邪を引いている可能性があり、行くのがためらわれた。「子供らしい生活」を奪われた次女からは笑顔が減った。「おかあしゃん、おうちに帰りたい」と訴えた次女の声が今も耳に残る。
家族と一緒にゆったりと過ごせる空間が何より欲しかった、と萩原さん。日本では年間、15歳以下の子供一万人に一人がガンを発症すると言われるが7、8割は治る。NPO理事長を務める阪大病院の小児科医 楠木さん自身も患者であった。入院中はひたすら家に帰りたいと願った。
夢の病院の青写真は約30床を備え、24時間家族が滞在可能な部屋を併設。病室との仕切りはガラスにし、隔離が必要な時も互いの顔を見て安心できる。
そして、萩原さんの次女もそうだったが長期入院と厳しい治療でストレスを抱える子供たちにとって唯一の癒やしは遊ぶこと。一人一人の状態に合わせて遊べるプレイルームを作り、お母さんの手作り料理が食べられるようにキッチンも設けたい。他にも化学療法中に特有の心身状態をサポートする人材育成、患者側と医療者とのコミュニケーションに起因する問題も多い事から製薬会社の助成を受けてコミュニケーション力向上の為のプログラム開発にも取り組む。
全国各地の病院が変わるきっかけになれば。日本の小児医療のモデルを目指したい。と楠木さんは語る。
建設費8億は寄付で賄う予定だが、まだ遠く、協力を呼びかけている。
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