- なんでも
- 阿部先生の記事すごい
- 21/04/05 08:27:45
記事がとても参考になります、悩んでいる方は一読してはどうですか?
「いじめられた子にも悪いところが…」加害者の“逆ギレ謝罪”を全校放送した顛末
https://news.yahoo.co.jp/articles/e32a3ed55d5fba7612df9351fa4c7e5981e018ef
年間約500件もの相談を受けて、いじめ事件の解決に奔走するうちに、いつしか「いじめ探偵」と呼ばれるようになった。
「どこで何をされているか、まずは本人にしっかりと聞き取ってもらえますか?」
「本人がちゃんと話をしてくれないと、その後の対策もうまくいきません。相手が子供だと名刺を渡さない人もいますが、一人の人間として僕は君を認めているよ、という意味も込めて私は子供に対しても渡すようにしています」
事なかれ主義の教師たち
いじめられた記憶を掘り起こす過程では、時系列が前後してしまうことが珍しくない。カレンダーやテレビの番組表などを見ながら、大きめの付箋に一つ一つの出来事を記入し、起きた順序通りに並び替えていく。
いきなり殴られたなど不自然な話があれば、その前には何かがあっただろうと問いを投げかけ、点と点をつなげていく。遠足や運動会などの写真を見せてもらい、加害者の顔と名前を特定する。
多くの被害者はいじめられていることへの恥ずかしさからか、被害レベルを半分程度に過少報告する傾向があるという。
「証拠を残すために、小型の録音機を貸しました。相手の名前を呼びかけたり、何をされているか分かるように、何回か実演指導もします」
だが、学校側は仕事を増やしたくないためか、まともに取り合わないことが多い。
問題に向き合おうとせず、トンチンカンなことを言ってくる教師は少なくない。そこで阿部氏はあえて思いっきり大きな声を出して、ケイタのいじめの証拠となる報告書を読み上げた。腹から声を出して読み続けていると、だんだん喉がキツくなってきたが、異様な雰囲気によって明らかに教師たちの表情が変わった。
動揺し、お茶を飲む手が震える者もいた。非常識に思えるかもしれないが、こうした手段を取らないと、教師たちは動かないのだ。
奇策を打ってトドメを刺す
後日、加害者たちに指導が行われたが、まったく反省していない様子だった。主犯格の親は「うちの子がいじめの濡れ衣を着せられた。こっちのほうがいじめられている」と逆ギレし、周囲にそう吹聴していた。
それでも、形ばかりの「謝罪の会」が開かれることになり、昼休みの時間を使い、被害者であるケイタ、加害者の双方の親と子供が集められた。しかし、加害親子には反省の色は見えず、彼らはこう言った。
“いじめられたって言っている子にも悪いところがあったから、これはお互いさまだね”
“いじめたつもりは全然ないけど、いじめって思わせちゃったみたいでゴメンね”
こうなることを予想していた阿部氏は、事前に策を講じていた。「謝罪の会」が開かれるのは視聴覚室の隣だったので、放送機器をうまく操作すれば、会の様子を全校中に流すことができると考えたのだ。
まったく悪びれない加害者の様子に怒りを感じていたケイタの友人も乗り気になった。急いで「謝罪の会」の教室に、放送室からコードを延ばしてマイクを設置。放送のスイッチをオンにすると、放送室に鍵をかけて別の教室へと移動した。
加害者親子の本音が校内に露呈した意味は大きかった
“うちの子だけが一方的に悪いとは思っていませんよ!”
“ケイタって、どこかいじめたくなる気持ちにさせるんです”
まったく謝罪する気などなく、自分の行為を正当化するばかりの加害者親子の声が筒抜けになってスピーカーから流れ始めると、学校全体がざわついてパニック状態になった。
「出てきなさい! ドアを開けなさい!」
教師は声を張り上げてドンドンと放送室のドアを叩いたが、なかには誰もいない。十円玉で開けられる簡易式の鍵だったので、間もなくドアは開けられてスイッチが切られた。だが、ほんのわずかな時間でも、加害者親子の本音が校内に露呈した意味は大きかった。
主犯格の生徒はその後、転校。いじめは完全に終結したというが、阿部氏はこのケースをこう振り返る。
「今思うと、全校放送はやり過ぎだったかもしれません……。ただ、そうでもしなければ加害者親子が自分たちがやったことの酷さを理解できなかったのは、残念ながら紛れもない事実です。とはいえ、私もさまざまな事例を経験してきて、もっと違うやり方で加害者に反省させる方法が今ならあると思っています」
(取材・構成:西谷格)
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