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- 17/09/20 14:22:40
「あいまいで恣意的解釈の恐れ」大阪市ヘイト抑止条例は「違憲」と提訴 市民8人が提訴
2017.0919
ヘイトスピーチ(憎悪表現)を規制する全国初の大阪市の条例は、あいまいな定義で「表現の自由」を侵害し、違憲だとして大阪市在住の40~60代の男女8人が19日、大阪市に対し、条例に基づく公金支出の無効確認などを求めた住民訴訟を大阪地裁に起こした。
訴状によると、大阪市は条例でヘイトスピーチについて「特定の人種や民族に対し、社会からの排除や権利・自由の制限、明らかに憎悪や差別意識、暴力をあおることのいずれかを目的として行われる表現活動」と定義。原告側はこの定義について「あいまいで、恣意(しい)的な解釈の恐れを払拭できない」と指摘し、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を神格化しているとして在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)を批判するケースなど、合理的な根拠に基づく政治的主張もヘイトスピーチに該当する恐れがあるとしている。
原告側代理人の徳永信一弁護士は「条例は表現の自由に対する過度な制約で不当だ。萎縮してしまい、言うべきことが言えない状態になる」としている。
ヘイトスピーチ抑止条例は昨年7月1日に全面施行された。ヘイトスピーチに該当すると判断された場合、当事者の名前や団体名を公表すると規定。これまでインターネットの動画4件が認定されたが、投稿者の実名は特定できていない。市は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
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ヘイトスピーチ対策法(知恵蔵より)
「特定の人種や民族への差別」をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)の抑止・解消を目的とした法律。2016年6月に施行された。正式名称は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」。
本法では、ヘイトスピーチを本邦外(日本国外)出身者への「差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知」する行為、「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」と定義し、基本理念として「(国民は)不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない」と掲げている。基本的施策としては、国に対して、相談体制の整備、人権教育の充実、啓発活動の実施などを定めている。また地方公共団体に対しては、国との役割分担を踏まえながら、実情に応じた施策を実施することを定めている。ただし、禁止・罰則規定がないことから、実効性に疑問の声が出ている。また、どこまでの言動を「不当」とするか線引きが難しく、公権力による恣意(しい)的な解釈・運用を危惧する声もある。
ヘイトスピーチは00年代末頃から、とりわけ在日コリアンの排斥を訴える右派系市民団体のデモ・街宣活動で頻繁に行われるようになり、深刻な社会問題になっていた。日本は、差別扇動行為の禁止を求める国連人種差別撤退(撤廃)条約を採択しており、人権擁護の啓発活動は行ってきたものの、憲法が保障する「表現の自由」を侵害する恐れがあることから、法律による規制には賛否両論があった。法規制の議論が高まるなか実施されたアンケート(「毎日新聞」15年5月実施、対象2310人)でも、法規制賛成46.9%、反対49.1%と伯仲していた。
(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)
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