幽霊以外でも怖い話

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      11/07/06 07:09:31

    トラウマが残る可能性があるので、読むのは自己責任でお願いします。


    私が中学卒業の記念に田舎の祖父の家に一人で泊まりに行った時の話です。

    祖父は群馬の山奥にある町から離れた山小屋に近い家に住んでいました。
    最寄の町から荷物を担いで一時間。まだ若かったとはいえ、山道など歩き慣れない15の頃の私には大変な道のりでした。

    祖父は私の訪問と中学卒業を喜び、腕によりをかけた豪勢な山の幸で夕飯を振る舞ってくれました。
    今でこそ価値と旨味のわかる普段食べられない新鮮な食材は、肉中心の脂っ気の多い濃い目の味で育っていた当時の舌に合わなかった。
    山道を歩き疲れた私の胃袋には入っていかず、唯一美味しく感じた深底な丼いっぱい入った長芋の擦りおろしで流し込むように米だけを食べた。
    山のようにご馳走を残し箸を置いた私を見て、祖父はひどく寂しそうな顔をしたのを覚えている。

    客間には既に布団が敷かれ、いつでも眠れるようになっていた。
    クタクタだった私は滑り込むように布団に入った。
    その様を見ていた祖父は
    「夜中にお腹すくだろうから、ご飯そのまま残しとくぞ」
    と告げ、自分も寝室に入って行った。

    祖父の言葉通り空腹で目が醒めた。
    電気をつけようと思ったが、祖父も私の訪問で疲れているだろうと思い、起こさないように暗がりの中を台所に向かった。
    山の中ということもあり、家の中は真っ暗だった。
    気味の悪さもあるので簡単に空腹だけ満たして戻ることにし、たまたま手に取れた長芋の丼の残りをグビグビ飲み干して部屋に帰った。
    時間が経ったせいか、先程より塩味が薄くなり、ツルっとした喉ごしの良さに満足して再び床についた。

    翌朝、祖父に起こされ、そのまま朝食になった。
    祖父は
    「昨日の残りものですまんな」
    と申し訳なさそうに言い、こうも続けた
    「夕べは少ししか食べてないからお腹減っただろ?朝までグッスリ寝てたんだな」
    私が夜起きたことには気付いていないようだったが、私は話を合わし、また作ってくれたであろう長芋の擦りおろしでご飯をかき込んだ。

    台所でご飯の片付けをしている祖父が首を傾げて空になった壷状の食器を見ているのが目に止まった。
    どうしたのか私が尋ねると
    「タン壷が空になってるんだが捨ててくれたのか?」
    と質問を返してきた。

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