• No.2 主 ネクタリン

    26/10/06 08:53:43

    ◆介護に疲弊した母がうつ病を発症し“ヤングケアラー”に

    しかし生活保護を受給できたからといって、家庭の問題がなくなるわけではなかった。

    父親には次々と病気が見つかった。病気そのものの苦しさや、働けないことへの焦りもあったのかもしれない。感情的になることが増え、両親の関係は悪化し、顔を合わせるだけで喧嘩になるようになった。

    父親の介護や家庭内トラブルに疲弊した母親は、うつ病を発症。それまで家事を担っていた母親が動けなくなると、清野さんが家事や介護、妹の世話をすべて担うようになった。このように家事や家族の世話を担う子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれ、深刻な社会問題となっている。

    家庭を離れ、高校で友人たちと過ごす時間だけが、彼にとって年相応の平穏な時間だった。しかし、その逃げ場も長くは続かなかった。2020年、「ステイホーム」の始まりである。

    当然、塾に通うお金はない。ゆっくり勉強できる時間も環境もない。だから清野さんは、勉強の「やり方」そのものを研究した。コロナ禍を受けてネットに出回り始めた大量の教育情報に、心理学・脳科学の論文まで読み漁り、記憶や学習に関する方法を片っ端から試した。

    アクティブリコール、ファインマン・テクニック、スペースド・リピティション……現在では効率的な学習法として広く知られている手法も、自分自身を実験台にしながら試していった。

    それでも、限界は何度も訪れた。精神的な負荷から身体が硬直し、呼吸困難になることもあった。

    家庭と受験の両方に追い詰められ、父親の前で「死にたい」と口にしたこともあった。父親は激昂し、清野さんの顔を机に叩きつけ、包丁を取り出して首元に押しつけた。清野さんは、「家族が大変なときに『死にたい』なんて、自分勝手なことを言ってごめんなさい」と頭を下げた。

    続

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