• No.1 主 ネクタリン

    26/10/06 08:52:19

    清野さんはたまらず、家を飛び出した。

    街を歩けば、同じ年頃の子どもがいる。当然のように高校へ進み、その先には大学があり、未来がある。「今は『親ガチャ』って言うんですかね。ただ、生まれの運が悪かっただけなのに」。

    「人生、詰んじゃったなあ」。そんな思いが頭をよぎった。

    ◆極度の貧困→人生逆転をかけた「受験」

    しかし同時に、反骨心も湧いてきた。社会は不条理だ。だからと言って、絶望して自ら命を絶ったり、非行に走ったりするのも、社会の負のレールに乗せられているようで耐えがたかった。

    「社会の犠牲になってたまるか」

    父親が働けないのであれば、自分が働いて家族を支えなければならない。そのためには、できるだけ稼げる人間にならなければならない。そのためには、学歴が要る。

    中学3年生の清野さんにとって、目の前にある人生逆転の大チャンスが「受験」だった。

    地元の名門公立高校、神奈川県立横浜翠嵐高校からは、毎年十数名が東大に合格している。か細い道ながら、貧困家庭でも東大へ行ける希望が見えた。

    その日から高校入試までのおよそ1カ月、清野さんは死に物狂いで勉強した。生活保護の申請が認められなければ、1カ月後には生きていけない。彼は中3にして、「人生最後の大勝負」と覚悟を決めて受験に挑んだ。

    決死の努力に、天性の才能が応えた。横浜翠嵐高校に合格。同じ時期、無事に生活保護の受給も決まった。

    「これでしばらく、死ななくて済む」

    高校合格の喜びと、生きていけるという安堵が、同時に訪れた。

    続

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