• No.9 ハマグリ全然見つからない

    26/07/02 16:24:23

    ■日本が獲得して、中国が失ったもの

     こうして日本の観光業界は、中国に偏っていた依存体質からの脱却に成功したほか、滞在日数がより多く消費単価の高い遠方・欧米からの客層をより多く取り込む好影響を受けた。経済制裁を意図した渡航自粛勧告とは、まるで逆の結果である。

     水産の世界でも、同じことが起ころうとしている。仮に将来的に禁輸が再び解除されようとも、日本の水産業者はもはや、中国市場への依存体質に逆戻りするつもりはない。

     きゅういちの餌取社長は、ニューヨーク・タイムズの取材に、「『一度あることは二度ある』と言いますよね。実際、二度起きた。三度目もあり得ます」と述べた。

     いつまた閉ざされるかわからない市場に、ふたたび経営の柱を据えるわけにはいかない。もう中国中心の事業体制には戻らない。それが、禁輸を二度くぐり抜けた日本のホタテ業界がたどり着いた答えだ。

     こうした覚悟を持つのは餌取氏ひとりではない。Fisk Japanの片野CEOも同紙の取材で、「最も重要なのは、単一の市場に依存しないことです」と指摘している。

     日本産ホタテを外交の切り札に使った中国は、皮肉にも、その切り札が二度と通用しない相手を自らの手で育て上げてしまった。

     中国はいま、日本からのホタテ加工の発注を失い、アメリカへの再輸出だけで年間約162億円規模を稼いでいた巨大産業の火は消えた。経済制裁で威圧を試みた側が、結果として最も重い代償を払う結末となった。

    https://president.jp/articles/-/115293

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