• No.1 ダイヤモンド(1カラット)

    25/10/21 12:22:04

    続き

    観客のマニア化は、OTT(オンライン動画配信)サービスの拡大と深く関係している。Netflixなどの普及により、視聴者は世界中の膨大なコンテンツに触れるようになり、自分の好みを細かく把握し、それに沿って作品を選ぶようになった。

    日本アニメもこの恩恵を受けた。以前は違法ダウンロードでしか見られなかった作品群が、今では各種OTTで合法的に鑑賞でき、誰でも容易にファンになれる環境が整った。『鬼滅の刃』『チェンソーマン』といったシリーズは、韓国国内のほぼ全てのOTTで配信中だ。

    映画評論家のキム・ギョンス氏は「かつては“見方を知らない”人がファンになれなかった。しかし今はOTTがその入り口を開き、観客が自らの趣味を確認し、強力なファンダム(熱狂的支持層)を形成するまでに至った」と分析した。

    それに比べ、韓国映画は依然としてコロナ前の「万人向け」作品に固執している。代表的な失敗例として挙げられるのが、今年夏公開の『全知的な読者の視点から』だ。

    原作ウェブ小説は世界で累計20億ビューを記録するほどの人気作だったが、映画化の過程で原作の個性やマニアックな要素が削られ、結果として原作ファンにも一般観客にもそっぽを向かれた。最終的に損益分岐点600万人に対し、わずか6分の1の観客しか集められずに終わった。

    制作関係者は「もし、もっとマニアックに作っていれば、一般観客の賛否を呼びつつも熱狂的ファンの支持で“日本アニメのような大ヒット”になったかもしれない」と述懐した。

    続く

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