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- 23/10/02 20:46:54
ノーベル賞にカリコ氏ら mRNA医薬、コロナ実用化導く
2023年10月2日 18:47
【写真】カタリン・カリコ氏(左)とドリュー・ワイスマン氏(2022年4月)
スウェーデンのカロリンスカ研究所は2日、2023年のノーベル生理学・医学賞を米ペンシルベニア大学のカタリン・カリコ非常勤教授(68)と同大のドリュー・ワイスマン教授(64)に授与すると発表した。遺伝情報を伝える物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」を使うワクチンに欠かせない基盤技術を開発した。新型コロナウイルスワクチンを実用化に導いた業績が評価された。
授賞理由は「新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン開発の基盤技術」。
mRNAは細胞内で遺伝情報をもとにたんぱく質を作る際に伝令役となる物質だ。新型コロナウイルスに対しては、米ファイザーと独ビオンテック、米モデルナがそれぞれ20年1〜3月ごろから本格的に開発を始め、同年12月にそれぞれ米国などで緊急承認を受けた。「ワクチン開発には少なくとも数年かかる」といわれた常識を覆した。
感染や発症、重症化を防ぐ効果は従来型のワクチンより高い。ファイザーとビオンテックのワクチンは、日本や米国など約180カ国・地域で承認された。
mRNAを感染症の予防や病気の治療のために体内に投与するアイデアは1980年代からあり、研究開発は90年代から本格的に始まった。しかし、mRNAは壊れやすく、体内の免疫反応を過剰に起こす問題があり、うまくいかなかった。
カリコ氏らは2005年、mRNAの一部の物質を変えるだけで、免疫反応が回避できることを示した。RNAをもとに作られるたんぱく質の量が数倍多くなることも見つけた。これらの発見がmRNAワクチンの基盤技術になった。
ただ、発表当時は大学や製薬業界の評価は高くはなかった。大学側はカリコ氏らの研究成果の特許を企業に売却した。カリコ氏はペンシルベニア大学を離れ、13年にビオンテックに入社して、ワクチンの実用化に貢献した。
技術はさまざまな病気の予防や治療に使う「mRNA医薬」の普及につながると期待されている。エイズウイルス(HIV)、ジカウイルス、インフルエンザウイルスといった他の感染症でもワクチンや治療薬としての臨床試験(治験)が進む。がん治療薬を目指した治験も進む。(略)
授賞式は12月10日にスウェーデンのストックホルムで開く。賞金は1100万スウェーデンクローナ(約1億5000万円)で、2氏で分ける。
産経新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC00013_U1A001C2000000/
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