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- 23/10/02 08:26:42
成田は「白タク無法地帯」、中国語アプリ決済で摘発回避…「友人を送迎」と言い逃れ
車寄せには白タクへの注意を呼びかける看板が設置されている(成田空港で) 【読売新聞社】
成田空港の周辺で、無許可営業の「白タク」が横行している。新型コロナウイルスの水際対策終了に伴い、戻ってきた訪日外国人客を狙ったものだ。ドライバーの多くは中国系とみられる。オンラインで予約や支払いを済ませるケースが多く、「友達を送迎しただけ」と言い逃れをされれば、警察も摘発は難しいという。(大津杜都)
地元運転手「無法地帯のよう」
先月の平日、旅客ターミナルの車寄せに到着した白ナンバーの車の後部座席から、中国語を話す男性2人が降りてきた。男性ドライバーがトランクからスーツケースを降ろし、2人に渡した。香港出身というドライバーはその後、悪びれる様子もなく取材に応じ、「友達を案内していたんだよ。銀座や富士山に行ってきた。営業許可はないけれど、留学生を送迎したこともあるよ。お金? お金はもらってない」と話した。
ターミナル周辺で観察していると、こうした場面に次々と出くわす。別の日には、到着ロビーで、中国語を話す男性がリュックを背負った黒人女性を出迎えた。互いにスマートフォンの画面を見せ合い、親指を立てる。その後、男性が車寄せに止めていた白ナンバーのワゴン車に女性を誘導し、自らは運転席に乗り込んだ。
白タク横行の背景には中国語などに対応した配車アプリの存在がある。「日本のタクシー価格は(中国の)20倍で地下鉄は複雑」「英語も通じにくいが、このアプリがあれば解決」。そんなうたい文句で客を集めている。アプリで予約して空港で待ち合わせ、支払いもアプリ内で完結する仕組みだ。
成田で30年以上働くタクシー運転手の日本人男性(70)は「コロナ禍が落ち着いた後、目に見えて白タクが増えた。『無法地帯』のようで、客も流れてしまっている」とため息をつく。
千葉県警も白タクの横行に警戒を強めており、1月には、都内在住の台湾籍の男(63)を道路運送法違反(自家用車の有償運送禁止)容疑で逮捕した。ただ、オンライン決済の場合は違法行為を証明するのは容易ではない。捜査関係者は「その場で現金のやりとりがなく、『友達だ』と言われたら立件のハードルは高くなる」と打ち明ける。
「ライドシェア」の解禁模索
水際対策の終了後、成田空港を利用する訪日外国人客は増加傾向だ。8月の国際線では139万8000人と、コロナ禍前の2019年8月の95%まで回復した。28年度には滑走路増設を予定しており、外国人客のさらなる増加でタクシーが不足することも想定される。
千葉県は白タクの横行を念頭に置き、一般ドライバーが自家用車を使い、有償で乗客を送迎できる「ライドシェア」の解禁を模索している。熊谷俊人知事は8月末の記者会見で、ライドシェアの研究を担当者に指示したと明言。県幹部も「空港周辺が犯罪の温床にならぬよう、ライドシェアのルールを整理するのも一つの手だ」と話す。
ただ、安全の確保や、交通事故が起きた際の補償のあり方など課題は多い。タクシー業界は反対しており、国土交通省も慎重な姿勢だ。
◆白タク=タクシー営業の国の許可を得ないまま、白ナンバーの自家用車などに有償で人を乗せ、送迎する行為。道路運送法で禁止されており、違反者には3年以下の懲役や300万円以下の罰金などが科される。事故が起きた際の無保険トラブルなども懸念される。
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