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- 23/08/31 14:23:53
2020年夏、長野県・上高地のキャンプ場で、女性が就寝中にクマに襲われた。女性を襲ったクマはその後どうなったのか、キャンプ場ではどんな再発防止策がとられているのか――。3年ぶりに現地を歩いた女性がリポートする。私がクマに襲われたのは3年前の8月8日深夜。山仲間とともに行った上高地・小梨平のキャンプ場で、ソロテントで寝ていたときのことだ。
そのクマは、実は前日も人のいるテントから食料を奪っており、私が襲われた当日も複数の有人テントを襲っていたことが、あとでわかった(人身事故は私のみ)。それ以前に同じクマと思われる個体が、夜間、ゴミ箱をあさる姿も監視カメラに収められており、人がもつ食料の味を覚えてしまった「餌付けグマ」の存在は把握されていた。だが、キャンプ場では、ボランティアでクマの監視を依頼していた研究者のアドバイスもあり、クマが人を襲うことは想定していなかったという。危機管理が甘かったと言わざるを得ない。
結局、このクマは8月13日に麻酔のついた吹き矢で打たれ、その数時間後に死体で発見された。この顛末を聞いて、クマには本当に申し訳ないと思った。自然の中で野生の尊厳をもって生をまっとうできず、人間が生き方を乱し、死に至らしめてしまったからだ。
(中略)
このクマの「食性履歴」が論文になっていることも、今回、初めて知った。論文によると、クマは推定年齢21歳前後の老体で、胃からは、捕獲直前にあさっていた冷凍庫にあったアップルパイの敷紙と考えられるアルミ箔が大量に見つかった。体毛の状態などから、事故直前の数週間前から人為的な食物を摂取するようになり、栄養状態が急に良くなっていたことも明らかになった。
環境省上高地ビジターセンターでは、現地のクマの生態を知るレクチャーが、夏季は毎日開かれており、そこにも参加した。
クマは冬眠から覚めたあと春から夏の間は、ずっと低栄養の状態が続き、秋に木の実を食べることでようやく栄養状態が良くなるのだという。そんななか、人間の食料はクマにとって麻薬のような存在で、いったん手軽に高カロリーのものが得られることがわかると、やめられなくなってしまうのだという。クマのすみかに人が安全に入らせてもらうためには、餌付けグマを出さないことが何よりも大事だということが、よくわかった。
https://dot.asahi.com/articles/-/199930?page=1
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