- なんでも
- レク
- 22/11/20 05:11:23
テレビの仕事をしていると様々なスタッフさんに会う。Sさんは、オカルト関係の番組を作った過去のある人だった。
「番組を作っていて一番怖かったのは?」。この質問にSさんの顔が一瞬曇ったが、過酷なロケ後、気持ちも通じ合っていたので語ってくれた。
霊能者は顔をこわばらせながら「娘さんは、います」と呟(つぶや)いた。
「どこに!?」
「ここです」
意味が分からなかった。もう一度聞くと、霊能者は足元を指差したのだ。
「行方不明の娘は、さっき母親と話をしていた和室の下にいます」
和室の下って…。
Sさんと霊能者が和室に戻ると、娘のことを涙ながらに語る母親がそこにいた。
「お母さん、娘さんの部屋をもう一度見せてくれませんか?」と言って、Sさんは母親を部屋から連れ出すと、ADに「畳を上げて、その下を見ろ」と指示をした。
和室の隣が娘の部屋で、母親は娘の思い出を語っている。
和室に残ったADは、畳をあげようとしたが、畳をあげるには何か平たいものを畳の間にぶっ刺して持ち上げるしかない。マイナスドライバーを畳の間にぶっ刺すと「ザクザク」と音がした。その瞬間、音を聞いた母親の顔が豹変し、和室に物すごい勢いで駆けていった。
「何やってんだ!この家から出て行け!!」
母親の顔は鬼の形相に変わっていた。
Sさんがなだめても、母親は「出て行け」と怒鳴り続けるので、ロケ隊は撮影を中止し、ロケバスに戻り帰ることにした。Sさんは帰りのロケバスで霊能者が言った事が今でも忘れられないと言う
間違いなく畳の下に娘さんはいます。個人宅なので勝手に捜査はできませんが、同じような家は何軒もあるんです。隠しても魂が教えてくれるのです」
Sさんが今まで経験した一番の恐怖体験は、本当に恐ろしい話だった。
最後に気になったので、Sさんに「この番組は放映されたのか?」と聞くと、「OAできるわけないじゃないですか」と引きつり笑いをしていた。
疑われないよう心配を装う母の顔が今でも忘れられない」。Sさんはそう言って話を締めた。
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