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- 22/05/30 12:05:38
月20万円で2人の娘を育てる40代シングルマザーの苦悩。夫からの養育費はゼロ
5/30(月) 8:55 Yahoo!ニュース
飯倉由美さん(仮名・48歳)
新型コロナでより深刻度が増した貧困問題、それに追い打ちをかけるインフレの嵐――。ただでさえ厳しい暮らしを強いられている低所得者層の生活が今、インフレによって脅かされている! 今回はシングルマザーで2人の子供を育てるリアルを取材した。
高額な電気代に絶句。一馬力で家計を支えるシングルマザー
約半数が貧困状態にあるといわれる日本のひとり親家庭。山梨県在住の介護職員で、高校生と大学生の娘を持つシングルマザーの飯倉由美さん(仮名・48歳)は、「月20万円の家計は常に火の車、少しの値上げでも影響は甚大」だと嘆息する。
「アパートの家賃や教育費、車のローンなどを差し引くと、手元に残るのは月6万円。この金額で、食費・光熱費含め家族3人の生活費全般を賄っています。特に今年は電気代とガソリン代の値上げに慄き、必死で節約しました」
新電力に切り替えるも…
冬場はエアコンを使わず灯油ストーブで凌いでいたが、相次ぐ値上げに耐えかね、今年の2月には新電力に切り替えた。
「ですが、電力の取引価格の高騰により1か月で新電力の会社が倒産。ほかの会社も新規受け付けをしておらず、元の大手電力会社に戻ってしまいました。値段がかさむのを恐れて、30アンペアでしか契約しなかったので、頻繁にブレーカーが落ちます」
外食は久しくしていない飯倉さん。近所のコンビニで半額惣菜を買い込んで、家族でパーティを催すのが今のささやかな楽しみとなっているという。
ガソリン代が月2万円超え…
ガソリン代の値上げも深刻だ。経済産業省は今年3月のガソリンの料金が、前年比と比較して19.4%上昇したと発表。飯倉さんの支出にも影響が及んだ。
「家賃の安い田舎に越したため、勤め先の介護施設まで片道50㎞あり、毎日車で1時間超かけて通っています。3月にはガソリン代が2万円を超え、交通費の支給額を超えてしまったんです」
夫からの養育費はゼロ。家計の負担がのしかかる
元夫から教育費や生活費の振り込みはない。飯倉さんの稼ぎだけで、親子3人暮らしている。
「昨年末に夫と別居するときも、引っ越し業者を雇えず私と子供たちだけで家財道具を運びました。今、この地域で高卒の私を雇ってくれるのは介護職ぐらい。夜勤も多く15時半には家を出て、朝9時まで働いて、帰るのは昼近く。睡眠は一日3時間です。いつまでこの生活が続くのか……」
物価高に行政の支援からもこぼれ落ちた飯倉さん。困窮の根底には、日本の社会が抱える構造的な問題が横たわっている。
ひとり親世帯に行政の制度・支援が行き渡らない現実
飯倉さんの例のように、一馬力で家計を支えるひとり親家庭が困窮する背景には、行政の制度・支援の不足が指摘されている。
「例えば、現行の児童手当の支給は原則、中学卒業まで。食べ盛りで学費もかかる高校生は、給付の対象外となってしまうんです。公立高校も授業料は無償ですが、制服代や修学旅行費、さらに塾代や受験費用などの負担も家計に重くのしかかります」
と語るのは、母子世帯を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」事務局の小森雅子氏。同氏によると、離婚が成立していない事実上のひとり親家庭に立ちはだかる「世帯主の壁」の問題も深刻だという。
「昨年11月に閣議決定された臨時特別給付金の10万円も、元配偶者の口座に入金される事例がありました。現在、低所得の子育て世帯への5万円給付の動きもありますが、前回の二の舞いになるのでは……」
モヤシは必需品なのに値上げ…
ただでさえ困窮しやすいひとり親家庭にとって、目下のインフレは大きなリスクとなる。
「私たちの調査でも、インフレになってから『親子2人で一日の食費が300円のわが家にとって、モヤシは必需品なのに値上げされていた』『スーパーでお菓子や果物売場などを見ると辛くなるので、その場を走り去っている』などの声が寄せられています。貯金を取り崩し、多重債務をせざるを得ないほど追い詰められている家庭も少なくありません」
見通しの立たない値上げラッシュに、「自助」ではどうにもならない現実がある。
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