- ニュース全般
- 匿名
- 22/05/27 20:39:18
5/27(金) 18:12配信
「正直、ニュースに登場した代理人の動きを見て、『え、何が起きたの?』とすぐには理解すらできなかったのには驚きました。なかなか、こんな方法は思いつきません」
溝の口法律事務所の田畑淳弁護士がそう舌を巻くのは、山口県阿武町の「4630万円誤送金」問題で、町側の代理人となった中山修身弁護士の手腕だ。5月24日、阿武町は誤送金した金額の9割にあたる4299万円余りを「法的に確保した」と発表したが、絶望的と思われていた返金がなぜ可能になったのか。中山弁護士が放った「鬼手」を田畑弁護士が解説する。
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職業柄、こういう事件が起こると、「自分が代理人だったら、どうするだろう」とは、やはり考えます。このケースも、自分でも考えてはみたが、なかなか難航しそうな回収事件で、どこからどうやって回収したのか、当初は見当もつきませんでした。
報道によると、どうやら国税徴収法の規定を準用し、決済代行業者の口座を抑えたということですが、それにしてもここまで鮮やかな結果が出るものか。少々妬みさえ感じながら条文を繰った弁護士は私だけではないと思います。
(中略)
では中山弁護士がとった方法とは具体的にどのようなものだったのでしょうか。本件の経緯はつまびらかにはされておらず、想像で補うしかない部分も少なくありませんが、現時点で考える限り、(1)国税徴収法を駆使し(2)決済代行業者に対する(3)やや強引な方法を取った点が想定外であったと考えます。以下まとめてみました。
多くの弁護士が事前に予想できなかったことのひとつは、国税徴収法67条1項(と地方税法48条1項)という「飛び道具」を使って、滞納税額を遥かに超えた預金債権を差し押さえた点です。国税徴収法とは、滞納者の財産調査や、(1)滞納者と関係する第三者の財産・帳簿の調査が可能(2)滞納税額を超えた差し押さえが可能という強力な権限を発動できる法律です。
当職も含めて、行政の事件をあまり担当しない弁護士にとっては、慣れない条文ですが、驚くほど強力な規定です。一般人の債権回収について、法改正がなされてもなお「逃げ得」で終わる状況が多いことに鑑みれば、「チートスキル」とも呼ぶべき行政機関のもつ超強力規定だと言えるでしょう。
今回の場合は田口容疑者が国民健康保険税を滞納していたことで、この国税徴収法を使う余地が生まれたという理屈になります。
報道によると「 容疑者と(オンラインカジノの)決済代行業者3社が委任関係にあると判断し、業者の口座を容疑者自身のものとみなして預金の差し押さえ手続きを進めた 」としています。
結果的にこの決済代行業者が返金してきたわけですが、国税徴収法により差し押さえ手続きを進めた口座は決済代行会社の口座であり、滞納者である田口容疑者の名義ですら無いわけです。このあたりは「チートスキルをフル活用した手段に出たな」という印象を受けました。
(中略)
決済代行業者に圧力をかけることに慣れているのは、消費者問題を担当することの多い、言わば反権力側の弁護士です。他方で、国税徴収法に詳しいのは行政、すなわち権力側の仕事が多い弁護士です。両立しないことが多い能力ですので、双方に通じた弁護士は「両利き」のような貴重な存在です。
その2つの方法を組み合わせた、そして、決済代行会社の口座に資金が残っており、カジノに流れてしまう前に迅速に抑えた、代理人の功績はその点に集約される、という見方があります。実際そう指摘する弁護士も少なくありません。
(続きはリンク先から)
文集オンライン https://bunshun.jp/articles/-/54679
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