- なんでも
- ヒマラヤン
- 22/03/31 23:33:47
【コラム】井筒和幸の「怒怒哀楽」劇場
濡れ場、脱ぎ場の調整係だ? なんとも疎ましい職種が登場
(略)
先週も少し触れたが、もっと作品の質を落としそうな、冗談みたいなことが、先日、外資系のネットドラマの現場で起こっていた。主演の若い女優が「インティマシー・コーディネーター」なる覚えたくもない横文字職の女スタッフを連れてきたというのだ。インティマシーとは「親密な、密接な」の意味らしいが、映画や舞台で役者同士がぶちゅぶちゅと接触するラブシーンでのことだ。要は“濡れ場”“脱ぎ場”で役者同士の体の接触を安全なものにしていく調整係のことで、早い話、経験の浅い若い女優が(監督や相手男優や周りのスタッフに萎縮してしまって)過剰な演出に不平不満を言えないのを代わりに聞いてやり、監督に訴え、演技に注文を出す監視役というわけだ。本番以外マスク、怒鳴り声3密禁止のコロナ対策どころじゃない。なんとも疎ましい職種が登場してくれたものだ。「相手役の男優も困ってましたが、からみの乗りを壊してしまう、とんでもないやつが現場に張りついてるので、往生しましたよ」とその制作部は嘆いていたのだ。
困った時代になった。女優の扱いが酷なハリウッドでは、昨年の女優のセクハラ告発でなおさらこの職が増えて団体まであるとか。ケーブルTVのHBOは、今後すべてのセックス場面は“インティマシー”の立ち会いの下で行うと宣言したとか。そのうち、日本の映画現場でも、滑舌もロクにできないが売れ筋の女優さまが「性技お目付け役」を同行させ、監督にイチャモンをつけさせるかもだ。そんなやつに横からあれこれ言ってもらわないと、“バサ”(乱れる場面)に挑めないような女優など、こっちは元から選ばないだろうが。
昔、「犬死にせしもの」で、新人の今井美樹嬢を丸裸にさせたり、船上で尻をまくって海にオシッコさせたり、キスを何十回と連続でテークしたりした。彼女は耐えに耐えて夢中で演じた。熱い時代だった。今はキスも嫌う女優もどきがいる。ご清潔なものだ。(以下略)
日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/279135
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