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<Q&A>ウクライナ上空の「飛行禁止区域」って何?
2022年3月6日 18時26分
東京新聞
ロシアによるウクライナ侵攻で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、北大西洋条約機構(NATO)に対し、ロシア機による爆撃を避けるため、上空に飛行禁止区域(no-fly zone) を設けるよう訴えています。飛行禁止区域にはどんな意味があるのでしょうか。
Q 戦時中の飛行禁止区域とは。
A 自国の上空で敵国機が空爆や偵察活動などを行うことを防ぐため、航空機の進入を禁じる区域を指定することです。区域を設けることは、違反して進入してきた場合に、撃退することを意味します。
Q 禁止区域はウクライナが設けるのか。
A ウクライナの空軍力はロシアの10分の1程度と、撃退能力に欠け、領土への空爆被害が相次いでいます。このため、ウクライナが区域を設けても実質的に意味がありません。このためウクライナ政府は北大西洋条約機構(NATO)が区域を設定し、NATO軍機がロシア軍機を監視するよう求めています。
Q ウクライナの要請に対してNATOの対応は。
A 要請を拒否しています。
Q なぜ拒否するのか。
A NATO軍機でウクライナ上空を警戒し、ロシア軍機と遭遇した場合、撃退する必要が生じ、「欧州での全面戦争となる恐れがある」(NATOのストルテンベルグ事務総長)からです。米国が主導するNATOは当初から、ウクライナはNATO加盟国でないとして、集団的自衛権を適用して軍事介入し、ロシアと直接対決する事態を避けてきました。バイデン大統領は1日の一般教書演説でも「ウクライナでロシア軍と戦うことはない」と宣言しています。
Q ロシア側も飛行禁止区域の設定に過敏になっているのか。
A はい。ロイター通信によると、プーチン大統領は、禁止区域が設定されれば「武力衝突への直接参加と見なし、欧州と世界に破滅的な結果をもたらす」と強くけん制しています。
Q ウクライナはNATOの慎重姿勢をどう思っているのか。
A ゼレンスキー大統領は、SNSの「テレグラム」を通じて「ウクライナに対するさらなる爆撃にゴーサインを出した。あなたたちの弱さのために、ウクライナ国民が死んでいくのだ」と強く批判しています。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/164016- 0
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