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- 21/12/24 04:57:17
「有名税」という言葉があります。有名なことによって生じる代償を税金に例えたものですが、SNSでは有名人に対する誹謗中傷を行いながらも「これくらい有名税でしょ」と開き直ってしまう加害者が多くいます。そして、今もあらゆる有名人が多数の誹謗中傷を日常的に受けています。
2020年、フジテレビ系のリアリティショー番組に出演していた22歳の女性がネットの誹謗中傷に晒され、自殺するという悲劇が起きました。世論でもネットの書き込みはひどい、という流れになりましたが、それでも誹謗中傷はなくなりませんでした。
匿名の立場にいる人たちは「有名人を攻撃することがなぜ悪いのか」という感覚なのです。有名人がYouTubeなどで誹謗中傷をやめるように伝えても、「テレビに出ているんだから仕方がない、我慢しろ」という意見も出るのです。
当然、有名人だとしても誹謗中傷したり脅迫することは違法です。以前は、弁護士も警察もネットの書き込みに対して犯人を特定し、損害賠償を取ったり、逮捕するといったことに慣れていませんでした。被害届を出そうとしても、受理しないといったひどいことも起きていたのです。しかし、今はこうした状況から変わろうとしています。
2020年11月には誹謗中傷を受けた被害者が犯人の身元を特定するために、情報開示請求の対象に電話番号を追加する省令改正を実施しました。これでSNS事業者からもらう情報で犯人にアプローチしやすくなったのです。
2021年4月には、プロバイダ責任制限法の改正が行われました。現行法では、匿名の犯人を見つけるためにはコンテンツプロバイダからIPアドレスを開示してもらい、接続プロバイダからIPアドレス使用者を開示してもらう必要があります。そのため、手続きも時間もコストもかかっていました。改正により、この手続きを一体化できるようになるのです。施行日は2022年9月~10月と予想されています。
この改正では、Twitterのようなログイン型サービスにおける開示請求にも対応するようになります。現行法では投稿時のIPアドレスが必要になるのですが、SNSによってはログイン時のIPアドレスしか持っておらず、法適用できないことがあったのです。改正により、ログイン時のIPアドレスなどの情報も特定発信者情報として開示できるようになります。
このような流れを受けて、今までは被害届を受理しなかった警察の理解も進みました。誹謗中傷を専門とする弁護士も増え、犯人を追い詰める態勢は整いつつあります。
もちろん、来年秋の施行を待つ必要はありません。現行法でも手間とコストはかかりますが、対応は可能です。すでに、多くの芸能人がアクションを起こしています。
タレントの春名風花さんは2018年にTwitterで「名誉男性」や「彼女の両親自体が失敗作」と誹謗中傷を受けました。そのため、弁護士に依頼し、刑事と民事の両方で訴えを起こしました。
捜査が始まり、家宅捜査と取り調べが始まるという段階で、誹謗中傷した投稿者から連絡があり、慰謝料を払うので示談して欲しいと連絡があったそうです。そこで、投稿者が315万4000円を支払うことで示談が成立しました。
元AKB48の川崎希さんも2013年ごろからネットで誹謗中傷されるようになりました。あまりにもひどいので、開示請求を行い、侮辱罪で刑事告訴しました。誹謗中傷を書き込んだ女性2人は書類送検されたのですが、深く反省していたので訴えを取り下げたそうです。
とは言え、ブログでは、今後も自分や家族に対して名誉毀損や侮辱、脅迫などがあれば、法律の手続きに従って対処していく、と宣言していました。
1へつづく
https://news.yahoo.co.jp/articles/e28d7e2bbf76dd78827824305657343f26137ed7
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