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- 都電荒川線
- 21/12/04 15:20:17
産後の女性が精神的に不安定になる「産後うつ」。発症の原因はさまざまあるが、10代で出産する「若年出産」もその一つとされている。「予期せぬ妊娠」をした少女が1人で抱え込み、追い込まれてしまうケースもあるという。
母子手帳を手に、15歳で妊娠した当時を「ぼろぼろだった」と振り返る女性。今は2人の息子の子育てに奔走している
群馬県の東毛地域の女性(30)は中学3年生の冬、妊娠していることを知った。受験シーズン真っただ中。相手は四つ上の社会人男性で、交際して2年目だった。
給食を食べると気持ちが悪くなり、授業中は眠気に襲われ叱られた。おなかが少し出て「便秘かな…」と思っていたが、生理が来なかった。彼の家で妊娠検査薬を使うと、陽性だった。
頭は真っ白。「結婚しよう。俺が守る」との彼の言葉に、「はい」と言えなかった。卒業後は、働きながら定時制の高校に通うつもりだった。「これからどうしよう…」。不安でいっぱいになった。
猛反対した母親は中絶手術を勝手に予約しようとした。おなかの子を拒否された感覚になり、「私が絶対守る」と出産を決めた。
卒業してすぐに工場で働いた。エコーに写る胎児の写真が心の支えだった。1日半の陣痛を乗り越えて長男(14)を産んだ。だが、その先の世間の目は厳しかった。
2人で散歩すると姉弟に見られた。若い母親に驚き、「虐待していない?」と言う人も。産後3カ月ごろからは外出できなくなった。常に視線を感じるようになり、怒りとストレスを自分に向けた。「あなたに子育ては無理」と言われたくなくて周囲に相談できず、長男への愛情だけが支えだった。
「心も体もぼろぼろ。本当につらかった。産後うつだったと思う」。女性は当時の自分をこう振り返る。
県が窓口 相談の半数が10代から
群馬県は2019年から予期せぬ妊娠などに関する相談窓口「ぐんま妊娠SOS」を設置している。運営する県助産師会によると、昨年は269件の相談があり、今年から無料通信アプリLINE(ライン)でも対応を始めると倍増した。
相談の半数が10代からだという。話を聞き、必要であればアフターピルや妊娠検査薬の情報を伝える。陽性の場合は、丁寧に本人の気持ちを聞き出し、中絶か出産かを決めてもらい、それぞれ保健センターや医療機関を紹介する。助産師による医療機関への同行支援も行う。「出産したいが育てられない」という女子高生を特別養子縁組につないだこともある。
厚生労働省の調べによると、全国で年間1万人弱が若年出産している。同会の小平良子さんは「サポート体制のないまま出産してしまうと、産み落として死なせてしまったり、自暴自棄になって貧困や虐待につながったりする恐れがある」と指摘する。望まぬ妊娠や悲惨な事件を避けるためにも、教育現場などで男女ともに性の正しい知識を身に付ける必要性を訴える。
小平さんは「予期せぬ妊娠が分かって絶望する少女もいるが、悲観することはない。相談してくれれば、解決の糸口を見つける支援ができる。ささいなことでも連絡してほしい」と呼び掛けている。
ぐんま妊娠SOSへの相談は電話窓口(電話027-289-4323)か、ホームページ(https://gunma-ninshin-sos.com)へ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff86ca2b82bd64a44357725d7a5143f124a7b8aa?page=2
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