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- 21/08/16 19:29:10
長野県岡谷市で15日に発生した土石流災害では、同県辰野町の巻渕(まきぶち)友希さん(41)と次男の春樹さん(12)、三男の尚煌(なおき)さん(7)の母子3人が亡くなった。同日夜、友希さんの義父、政雄さん(68)が苦しい胸中を語った。「まさか屋根の上から一気に土石流が来るとは」。お盆を穏やかに過ごしていた家族を襲った突然の出来事に、言葉を失った。
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土石流に襲われた岡谷市川岸東の住宅は政雄さんの実家。現在は空き家になっている。毎年お盆には親族がこの家に集まり、だんらんの時を過ごしてきた。今年も政雄さんの長男や次男の家族ら8人が14日から滞在し、15日には墓参も予定していた。友希さんは政雄さんの次男の妻。春樹さんと尚煌さんは可愛い孫だ。
政雄さんは当時、2階で寝ていた。ごう音で目を覚まし「みんな大丈夫か」と声をかけた。裏山に面した2階の別の部屋は、腰までつかるほどの土砂が押し寄せていた。友希さんら母子3人はそこにいて、土砂に埋まっていた。暗闇の中、無我夢中で土砂を素手でかき出そうとした。駆けつけた救急隊員らが友希さんら3人を助け出したが、心肺停止状態だった。消防隊員らから心臓マッサージを受ける姿を見て、政雄さんは「いちるの望みを持っていた」。しかし、3人が息を吹き返すことはなかった。
学生時代にバレーボールに打ち込んでいた友希さんは、体力自慢だった。春樹さんは「芯が強い子」(政雄さん)で、バレーボールを習い、小学生のクラブチームでキャプテンを務めたという。三男の尚煌さんは母親に甘えたい盛り。戦隊ヒーローが大好きだった。
政雄さんは「短い人生だったけど、精いっぱい生きてきたと思う」と3人を悼む。そして、突然の別れが胸に迫ってくる。「こんなことになるんだったら、もっと家族で思い出をつくるような場所に行っておけばよかった」【皆川真仁】
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