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- 21/07/03 20:02:51
土石流が確認された熱海市伊豆山神社付近は、JR熱海駅から北北東に約1キロで、伊豆山から相模湾まで険しい地形でホテルや旅館も点在している。伊豆山から相模湾にかけては、JR東海道線と東海道新幹線の線路もあり、土石流は国道135号や海沿いの「熱海ビーチライン」付近まで達したとみられる。 静岡県のハザードマップによると、土石流が確認された伊豆山神社付近は「土石流危険渓流」に囲まれ、急傾斜地崩壊危険箇所や地すべり危険箇所などが点在している。土砂災害警戒区域に指定されていた。 京都大防災研究所の釜井俊孝教授(斜面災害)によると、現場を含む熱海市一帯は溶岩の上に火山噴出物が積み重なっている軟らかく崩れやすい地質で、2013年に土砂災害が発生し、36人が死亡、3人が行方不明になった東京都大島町(伊豆大島)の地質とよく似ているという。 釜井教授は「地形的には数百年スパンだと、常に土石流が起きる場所だった。過去には1923年にもう少し北の小田原市根府川(ねぶかわ)で、400人以上が亡くなる土石流が起きている。今回の災害も想定外ではない」と話す。 静岡県は1日、「大雨等による被害状況について」と題する第一報を発表。3日にかけて大気の状態が不安定になり、局地的に大雨となる見込みだとした。 2日午前6時現在では県内全市町に大雨警報が発令され、静岡地方気象台によると、熱海市には2日午後0時半に土砂災害警戒情報が発令されて土石流発生当時も継続中だった。ただし、3日朝の時点で、熱海市が発令していた避難情報は、警戒レベル4の「避難指示」ではなく、警戒レベル3の「高齢者等避難」だった。 同研究所の松四雄騎准教授(水文地形学)は「48時間で300ミリ以上降っていたが、土石流が起きた時には小雨になっていたようだ。この地域は火山岩でできていて、雨のピークから数時間遅れて土石流が起きるのが、火山岩の地形でよくある土砂災害の特徴。タイムラグが起きることもしばしばあり、雨がやんでも安心できない」と指摘する。 そのうえで「今回の現場は山麓(さんろく)に開発された宅地が並んでいるところ。上が急で、土石流が一直線に下りてくるため、地形的にも悪い方向になった。この周辺は同じような地形がそこら中にある。今回の雨が地盤を湿潤にし、次に雨が降ったときに今回より少ない雨で崩れる可能性もあるので注意が必要だ」と呼び掛けている。 静岡県の担当者は事前の避難の呼び掛けについて「今後検証しなければ何とも言えない」としている。【国本愛、信田真由美、二村祐士朗】
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