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もう買った?手帳を活用していますか?
21/08/07 14:43:12
シリーズ 「 覗く女 」転載します https://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3811722&commentNo=89731 No.89731 匿名 2021/08/07 10:38 > 89696 土曜日というのに、今朝も外からのヘリコプターの音がいつもに増して癪に障る。K代は寂れた小さなベランダに脚立を置いた。 境界線に新たに建てられた豪奢なハイパーテションの上から、僅かだが隣の様子が伺える。 夢にみた白亜御殿がそこに佇んでいるのだ。 車寄せには白いロールスロイスが見える。 どうやら息子(娘)夫婦が孫を連れて遊びに来ているようだった。思わず自分は息子に会ったのはいつだったかを思い出そうとしたが、 すぐに諦める。更に体を乗り出し精一杯眼をこらしてみる。庭に上品なクリームやアイボリーのイングリッシュローズが見事だ。 中から時折『お婆ちゃま!』と子供達の笑い声と賑やかな声が漏れ聞こえてくる。 あぁ…ついついため息が出てしまった 夢に見た幸せがそこにある事を K代は認めたくなく、唇を噛み締めるのであった…
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21/08/07 14:45:42
>>108 https://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3811722&commentNo=89905 No.89905 匿名 2021/08/07 13:37 > 89731 足場の幕の向こうから、雨粒が窓に当たる様子が見えた。テレビの音から離れたせいか、雨音だけがガランとした室内に虚ろに響き始める。 "あっ"早朝に置いた大事な盛り塩! 急いで玄関でサンダルを履き、気に入りの赤い縁のビニール傘を手に取ると、一気に小さな階段を降りた。 案の定、盛り塩は雨に形を崩しているようだ。 片手に傘を差したまま、しゃがみこむと、 水分を含んだ塩が綺麗に輝いて見え、無意識にひと掴み手に取ってみる。 途端、20年前の映像が走馬灯のように 脳裏を走り出した。意気揚々と新しい家庭を この地で生み出すべく、希望と期待に胸を膨らませていたあの日、あの時、そして今。 いつのまに強く掴んだはずのものが、 指の隙間から流れ落ちてしまったのか… いや、違う、もっと幸せになるんだ! と頭を激しく振ったのと同時に、手から先ほど 掴んだ塩が滑り落ちた。足元を見下ろすと、 土色に滲んだ塩の粒子がすっかり煌めきを失い、灰色のアスファルトに流れ始めていた…
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No.108 匿名
21/08/07 14:43:12
シリーズ 「 覗く女 」転載します
https://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3811722&commentNo=89731
No.89731 匿名 2021/08/07 10:38
> 89696
土曜日というのに、今朝も外からのヘリコプターの音がいつもに増して癪に障る。K代は寂れた小さなベランダに脚立を置いた。
境界線に新たに建てられた豪奢なハイパーテションの上から、僅かだが隣の様子が伺える。
夢にみた白亜御殿がそこに佇んでいるのだ。
車寄せには白いロールスロイスが見える。
どうやら息子(娘)夫婦が孫を連れて遊びに来ているようだった。思わず自分は息子に会ったのはいつだったかを思い出そうとしたが、
すぐに諦める。更に体を乗り出し精一杯眼をこらしてみる。庭に上品なクリームやアイボリーのイングリッシュローズが見事だ。
中から時折『お婆ちゃま!』と子供達の笑い声と賑やかな声が漏れ聞こえてくる。
あぁ…ついついため息が出てしまった
夢に見た幸せがそこにある事を
K代は認めたくなく、唇を噛み締めるのであった…
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No.109 匿名
21/08/07 14:45:42
>>108
https://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3811722&commentNo=89905
No.89905 匿名 2021/08/07 13:37
> 89731
足場の幕の向こうから、雨粒が窓に当たる様子が見えた。テレビの音から離れたせいか、雨音だけがガランとした室内に虚ろに響き始める。
"あっ"早朝に置いた大事な盛り塩!
急いで玄関でサンダルを履き、気に入りの赤い縁のビニール傘を手に取ると、一気に小さな階段を降りた。
案の定、盛り塩は雨に形を崩しているようだ。
片手に傘を差したまま、しゃがみこむと、
水分を含んだ塩が綺麗に輝いて見え、無意識にひと掴み手に取ってみる。
途端、20年前の映像が走馬灯のように
脳裏を走り出した。意気揚々と新しい家庭を
この地で生み出すべく、希望と期待に胸を膨らませていたあの日、あの時、そして今。
いつのまに強く掴んだはずのものが、
指の隙間から流れ落ちてしまったのか…
いや、違う、もっと幸せになるんだ!
と頭を激しく振ったのと同時に、手から先ほど
掴んだ塩が滑り落ちた。足元を見下ろすと、
土色に滲んだ塩の粒子がすっかり煌めきを失い、灰色のアスファルトに流れ始めていた…