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- 21/03/21 16:05:19
「月経カップおじさん」はなぜ“気持ち悪い”と炎上したのか?
3/21(日) 9:06
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日刊ゲンダイDIGITAL
(文=水野詩子/ライター・コラムニスト)
「月経カップおじさん」という違和感たっぷりのワードがツイッタートレンドにあがったのは、つい2週間前のこと。
月経カップといえば、ここ最近日本でもよく耳や目にする機会が増えた生理用品である。欧米を中心に話題となり、第三の生理用品としてシリコン製のカップを膣内に直接挿入し、経血を溜めるというものだ。
経血は4~12時間ごとに捨てる必要があり、経血が溜まったらカップ内の経血を捨てて再び洗って装着できるためエコであり、長期的に見れば経済的というメリットもある。
しかし適切に消毒しなければならないなどの注意点も多く、トキシックショック症候群という黄色ブドウ球菌が作り出す毒素によって引き起こされる疾患によって、手足などの体の一部を切断しなくてはならないリスクも存在する。
実際に、月経カップによるトキシックショック症候群で両足と手の指を切断した女性も存在しているため、使用にはナプキン以上に慎重さが求められる。
そんな中、月経カップおじさんは生理用品を話題に上げているネットユーザーたちに月経カップを紹介している動画のURLを送るだけでなく、月経カップに慎重な姿勢を見せるユーザーに逆ギレして反論するという行動を繰り返した。女性がネット上で生理用品について調べたり、SNS上で情報交換するのはごく日常的なことだ。月経カップおじさんはそこに土足で踏み込んで荒らしてしまった。
■自己顕示欲に生理用品を使ういやらしさ
もちろん男性が”生理”というものに興味を持ち、歩み寄りの姿勢を見せてくれているならば、それは女性にとってもありがたいことだ。
しかし、生理を経験したことがない男性が「これを使うべきだ!」と特定の生理用品を、半ば攻撃的に押し付けてくるのははっきり言ってありがたくない。ただの迷惑である。
生理と一概に言っても経血量も人によってはそれぞれ違う上に、3日で終わる人もいれば10日で終わる人もいる。コンディションや環境によっても左右されるので、生理痛がひどい時もあれば、今回は軽いなと思うこともあるし、量も毎回一定ではない。
生理用品を状況によって使い分けるぐらい、女性たちは生理を通して自分の体と向き合い、自分の身体や体質にあった生理用品をきちんと選んでいる。
だからこそ、月経カップには慎重にならざるを得ない。
にもかかわらず、月経カップおじさんは嬉々として「こんな便利なものがあるのに使わない日本の女性は馬鹿だ!」と言わんばかりに、女性たちに噛みつきまくった。
筆者は一連の流れを全て静観して観察していたが、男性でありながら生理のことをしっかり勉強している"自分のすごさアピール"に「月経カップを使ってみたんだな」と感じた。何のために、どう使ったのかは定かではないが、違和感を感じたは、実際に生理を経験してその大変さをよく分かっている女性の言葉に耳を貸さなかったことだ。一方的に女性を批判している時点で、「女性を下に見ている」のだろう。
もし単なる自分の自己顕示欲のために、”月経カップ”を使ったのだとしたら、やはり「気持ち悪い」し、現実に炎上せざるを得なかったのだと思った。東京五輪開催に関連した女性蔑視発言が問題になったが、ある意味これも、女性蔑視の類といえるかもしれない。
■欲しいのはアドバイスではない
ここ最近「生理の貧困」が話題になり、今まで以上に”生理”について考えてもらえる機会が増えたのは良いことだと感じる。
しかし「本当に考えなくてはならない部分がどこなのか?」を見誤って欲しくないとも思う。
ミュゼマーケティングが20年3月に公表した調査によると、「男性は生理を理解していない」と思う人が、前回の調査よりも増加しており、「男性も生理についてもっと知るべきだ」と思う人は前回と変わらず90%を占めるという結果になった。
欲しいのはアドバイスではなく”理解”。
過度なフェミニズムを煽るつもりはないが、男性が生理について触れるのであれば、「どうしたらいいか?」と素直に女性にアドバイスを求めるぐらいの姿勢であって欲しい。
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