- なんでも
- 小早川隆景
- 21/03/18 19:49:50
専業主婦率とは,6歳未満の子がいる核家族世帯(母子・父子世帯は含まない)のうち,「夫有業・妻無業」の世帯の比率です。三世代世帯の影響を除くため,核家族世帯に限定します。2012年の総務省『就業構造基本調査』からこの指標を県別に出し、虐待発生率との相関をとってみました。
撹乱はありますが,専業主婦率が高い県ほど,母親の虐待率が高い傾向が見受けられます。相関係数は+0.534であり,1%水準で有意です。
上図の相関は,祖父母と離れて暮らしている核家族世帯の率を介した疑似相関ではないか,という疑いもあります。しかし,6歳未満の子がいる世帯の核家族世帯率との相関を出したところ,係数値は+0.367であり,主婦率との相関よりも小さいのです。
母親の主婦率と虐待率が因果関係的な面を持っているとしたらどうでしょう。ある方がツイッター上で,「母親が一人,小さい子と24時間接するのはとても危険なことだ」とつぶやいておられました。言い得て妙だと思います。
虐待の被害者の多くは就学前の乳幼児ですが,この時期の子どもは言語による意思疎通も困難で,なかなか言うことを聞いてくれません。2~4歳頃には,第1次反抗期も迎えます。一人,こうした存在と四六時中向き合うというのは,確かに「危険なこと」なのかもしれません。周囲からのヘルプが得られない場合,なおさらのこと。
それに,専業主婦は自分の役割を「子育て」に特化しているため,いわゆる「パーフェクトチャイルド願望」が高いのが常です。そうした(高き)理想と現実とのギャップも,虐待発生の素地を準備すると考えられます。
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