• No.9 本多忠勝

    21/03/13 10:42:41

    判決の日は「染めたツンツン髪」で法廷に登場

     Aさんの父が語る。

    「辻氏は経営者として成功しているみたいですね。時々テレビに出ているのは知っていましたが、彼を見ると当時の怒りと悲しみを思い出してしまうので、極力見ないように避けていました。でも、ここまで有名だとは話題になるまで知りませんでした。事故が起きた日から片時も彼のことを忘れたことはありません」

     事故が起きた2011年の9月11日、Aさん一家の生活は一変した。

    「最初は事故現場から近い救急センターに搬送されたのですが、脳へのダメージが大きかったのですぐに岡山の脳損傷被害者専門の病院に移されました。なんとか一命はとりとめましたが、息子が身動きひとつ取れなくなってしまったという辛い現実に耐えられず、何度息子と一緒に死のうと思ったかわかりません」(Aさんの母)

     一家が住む大阪から岡山は遠く、母だけがAさんの傍に残る形で岡山に一人暮らし、父とAさんの兄は大阪に残るバラバラの生活が始まった。交通事故の刑事裁判は、その慣れない介護生活が続く中で始まった。2012年10月9日に大阪地裁岸和田支部で、辻氏に対して禁固2年、執行猶予3年という判決が下された。その日の辻氏の様子を夫妻はよく覚えているという。

    「法廷に立った彼は、染めた髪の毛を整髪料で固めてツンツンに整えていたんです。なんでこんなに余裕あるんだろうと驚きました。

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