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- 21/01/28 18:33:30
電車やバスで妊婦に席を譲る意思を示そうと、東京都小金井市の男性が作った小さなタグが、全国に広がっている。発売から1年。すでに約1万5千個の注文があり、普及に協力する店舗や学校も出てきた。
【写真】タグを製作した椎野祐輔さん=10月、東京都内
札にはマタニティーマークと「席ゆずります 声かけてください」の文字。カバンなどにぶら下げる。作ったのは都内のIT企業に勤める椎野祐輔さん(31)。2019年12月に長男が生まれ、1年間の育休中に作った。きっかけは妊娠中の妻(26)と電車に乗ったときの経験だった。
妻と優先席の前に立った。若い人も座っていたが、譲ってくれたのは高齢女性。違和感はあったが、気づかない人も、自ら声をかけられない人もいる。妊婦が付けるマタニティーマークだけでなく、「譲る側」もあればいい――。
■ツイッターで拡散、注文殺到
デザインはウェブデザイナーの妻が考えた。知人に配るとツイッターで話題になり、売り物じゃないのに注文が。昨年1月からネットで一つ380円(小サイズ、送料別)で販売を始めた。全て実費で利益はでない。注文が1日1千個になる日もあったが、知人の助けも得て自ら梱包(こんぽう)・発送し続けている。
「つわりに苦しみながら通勤する妻を見て」「妊娠中に席を譲ってもらった。今度は私が」。購入理由は様々だ。「声をかけてもらえた」というだけでなく、札を持つことで「席を必要としている人を探すようになった」との声もあった。
■企業、学校も普及に協力
当初はネット販売が中心だったが、普及に協力する企業が増え、全国約30の店や施設で販売されるようになった。工具店「ファクトリーギア」は全国12店舗でタグを販売。高野倉匡人社長(57)は「お客さんは、優しいけれど無口な職人たち。席を譲る勇気の後押しができたら」と話す。
首都圏を中心に中学や高校などからも「タグを広めたい」と連絡が来るようになった。椎野さんは「優しさが連鎖し、タグが広がっている。妊婦が安心できる空間が増えていくといい」と話す。(加藤あず佐)
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