「自分が怖くなった」性依存症の苦悩…犯罪減へ全国初の試み

  • ニュース全般
  • 足軽(鉄砲)
  • 20/11/29 03:07:14

福岡県は今年5月、性暴力の加害者や自身の性的な問題行動で悩む人を対象とする「性暴力加害者相談窓口」を開設した。性犯罪で刑事処分を受けた人の相談窓口は大阪府にもあるが、犯罪の有無にかかわらず相談に応じるのは全国で初めて。被害者を減らすために加害者となるのを防ぐ「画期的な試み」だという。

【画像】九州の性依存症の主な相談窓口

 窓口は今年全面施行された県の性暴力根絶条例に基づく施策の一つ。対象は年齢や性別を問わず内容が違法行為でも相談に応じる。場所は非公開で、相談者には予約時に知らせる。この半年で、自ら性犯罪を思いとどまりたい人や不倫関係に悩む人など30人から問い合わせや相談があった。

 まず精神保健福祉士が聞き取り、臨床心理士や臨床発達心理士、精神科医を交えた「ケース会議」で対応を協議。多くは臨床心理士らによるカウンセリングを行うが、症状が重い場合などは医療機関や民間の支援施設を紹介する。

性暴力や問題行動の背景は

 カウンセリングは週1回程度から始め、半年から1年間をめどに継続する。臨床発達心理士の大黒剛さん(49)によると、性暴力や問題行動の背景には「親子関係の不全など幼い頃の心の傷や強いストレス体験がある」。幼少期までさかのぼって精神状態をひもときながら、問題行動が何に起因し、どんなときに起こるのかを探る。対人関係を円滑にする訓練「ソーシャルスキルトレーニング」や、健全な思考や習慣を身につける認知行動療法に取り組む。

 窓口による支援やカウンセリングは無料。さらに福岡県では通常は保険適用されない性依存症の治療も、医師が必要と認めた場合は3回の受診まで県が全額負担するほか、早期に投薬治療などが必要な「高リスク」と判断されれば医療費の7割を補助する。

 福井裕輝・性障害専門医療センター代表理事は「性依存症は精神科でも門前払いされることが多く、適切な支援や治療につながる人は少ない」と指摘。性暴力の被害者を減らすために「加害者や依存症を抱える人への支援をもっと手厚くする必要がある」と話した。 (川口史帆)

民間にも回復支援 自助グループや施設

 アルコールやギャンブルなどの依存症と同様、「性」を過度に求め、やめたくてもやめられない状態に陥る性依存症。性犯罪を起こしたり健康や社会生活に破綻を来したりする場合も多い。だが周囲からは嗜好(しこう)や性格の問題とされがちで、相談先も少ない。一方で彼らを救おうとする取り組みは民間でも進んでいる。

 盗撮を繰り返して逮捕された福岡県内の20代男性は起訴猶予で釈放後すぐに「盗撮したい」と欲求が沸き「自分が怖くなった」。愛する妻もいる。逮捕前も何度も反省し、踏みとどまろうと携帯電話の画面を妻の写真にしたが、衝動に負けた。スマートフォンで「性犯罪 再犯防止」と検索しても出るのは刑務所のプログラムばかり。方々に電話し、ようやく民間の依存症回復支援施設につながった。

 福岡県の相談窓口の支援員を務め、民間の支援施設にも携わった精神保健福祉士の井上俊明さん(45)は「依存症は脳の仕組みに要因があり、誰にでも起こる可能性がある。本人の反省や自制心で制御するのは難しい。回復には支えが必要だ」と指摘する。

 性風俗店を頻繁に利用したり不特定多数と性的関係を持ったりすることは、それだけでは犯罪ではない。生活に支障を来すなど何らかの問題が起きるまで依存を自覚するのは難しい。福岡県内で活動する性依存の自助グループは月に数回、匿名のミーティングを開き、心の内を打ち明け合いながら自分を見つめる。

 50代男性は出会い系サイトで知り合った若い女性と性行為を繰り返してきた。本人は「お金に困っている子への人助けだ」と思っていたという。ミーティングに参加するうち仕事のストレスからの逃避行動だったと気付いた。妻と食事に行くなど他の解消法を選べるようになったという。

 「多いときで彼氏が5人、ほかに『セフレ』が15人。既婚者ばかりだった」。20代の会社員女性は自ら「恋愛依存」と語る。男性から優しくされるのがうれしかった。セックスは我慢して応じた。自傷行為と同じだった。心配した会社の上司に促され、2年前からミーティングに参加している。「さみしい」。言葉にして自分の感情と向き合えるようになった。刃傷沙汰など「修羅場になる前にブレーキが踏めた」。今は結婚したいと思える男性と交際しているという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9b9207e603a03dcabe3bbd766bacf743673c6f6b

  • 0 いいね

利用ルール・禁止事項をご確認ください
誹謗中傷、個人情報、プライバシーを侵害する投稿は禁止しています。
また誹謗中傷においては、法改正により投稿者の情報開示について簡易な裁判手続きが導入されております。

古トピの為これ以上コメントできません

ママ達の声投稿されたコメントを掲載しています

画像表示ON・OFF

    コメントがありません

※コメント欄のパトロールでYahoo!ニュースのAIを使用しています

新しいトークテーマを作ろう

子育てや家事、旦那に関する悩み相談、
TV、芸能人に関する雑談など何でもOK!

トピックランキング

もっと見る

コミュニティカテゴリ