「おかんは産むだけ」押しつけられた育児 【中】3歳児を死なせた8人家族に起きたこと

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    • 記者
      20/10/29 20:06:47

    ▽「工賃出すから」と母親説得

     一家が福祉と全く接点がなかったわけではない。長男とゆり被告は事件当時、障害者の就労を支える作業所に通っていた。大阪市平野区に隣接する八尾市の「パラダイス八尾」。自動車の修理工場を改修した建物が作業場だ。利用者は自分たちのペースで軽作業などをしている。

     代表の正野裕久さんによると、一家との関わり始めは事件から4年前の2015年ごろ。18歳だった長男が通う特別支援学校(高等部)の先生から「事件を起こしているような子で、どこも行くところがない。卒業後の面倒を見てくれないか」とお願いされ、「かなり難しい子だな」と思ったが引き受けた。

     毎日のようにやって来る長男は、お漏らししたズボンをそのままはいており、アンモニア臭がしていた。父親に殴られたとみられ、顔などにあざがあった。作業所でも失踪は日常茶飯事で、盗み癖も続いていた。正野さんが長男を警察に迎えに行ったことも、一度や二度ではない。親代わりのような行動をした理由を公判で聞かれ「お父さんは仕事で対応するのが難しいし、お母さんは(まともに)話ができない人なので」と答えた。
     ある日、来所した母親とゆり被告を見て「一家ひっくるめて支援しないと」と思った。ゆり被告は年頃の女性なのに髪の毛がぼさぼさ。家の中で大きな権限を持っていそうな母親は支援のキーパーソンになるとみたが、「金にシビアで、自分にメリットがないと思った人の話は聞く耳をもたない」(正野さん)。子供らに乳幼児健診や予防接種を受けさせず、保健福祉センターの職員が自宅を訪問しても、子供に会わせず追い返していたという。

     正野さんは「工賃を出すから」と母親を説得し、2人にも通所してもらうことにした。子供らを連れて毎日顔を見せてくれれば、暮らしぶりが確認できる。苦肉の策だった。母親には、スタッフとの日々の雑談などを通じて、生活のリズムや常識を身に付けてもらえればと思っていた。

     こうして母娘はほぼ毎日、2台の自転車に子どもを前後に2人ずつ乗せて通ってくるようになった。ただゆり被告に支払われる工賃は、母親が「私に全部くれ」と言い、ゆり被告も「それでいい」と言って拒否しなかったため、母親が受け取っていた。一家と直接会えない保健福祉センターの担当者らは、正野さんを通じて様子を確認していたようだ。「毎日来ていますよ」と伝えると、安心した様子を見せた。  

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