- なんでも
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マラソン大会で。
毎年学年トップの息子。
その日はスタートしてすぐ、体の大きな子が足がもつれて転び、側にいた息子が下敷きになってしまった。
息子はすぐに立ち上がったものの、膝と肘が擦りむけて血が出て、靴は片方脱げてしまっていた。
息子は脱げた靴を右手に握り、片足靴下のまま全力で走り出した。
いつものトップグループの背中は遠い。
息子は走る速度を緩めることなく、走った。
しばらくしてトップグループが校門に戻って来たが、やっぱりいつもある息子の姿はない…
と、思った瞬間
トップグループから少し遅れて右手に靴を握りしめた息子が、片足靴下のまま全力疾走で校門に入ってきた。
周りの親たちから歓声があがり、みんなが口々に『○○!頑張れーー!』と息子の名前を叫ぶ声が聞こえた。
私の目の前を通過する時に、息子が一瞬泣きそうになり顔を歪めたが、ぐっと歯をくいしばって涙を堪え、顔をあげ、走ってグラウンドに入って行った。
周りのお母さんたちが息子の姿を見て泣いていた。
私もグラウンドに入って行く息子の小さな背中を見ながら、涙が止まらなくなった。
結果は学年8位となってしまったけど、忘れられない大会になった。
終わってからスタートで転んだ子が謝りに来てくれたが『大丈夫!気にすんな』と言っていた息子。この子の親になれてよかったと思った。- 19
20/10/20 01:42:09