• No.1 前田慶次

    20/09/19 17:57:36

    「名古屋闇サイト殺人事件」の映画化『おかえり ただいま』
     この「名古屋闇サイト殺人事件」が映画化され公開となる。惨殺された利恵さんの母親は事件直後、街頭で涙の訴えによって「3人の犯人の死刑を望む」という署名を集め、裁判に臨んだ。そんな母の姿を追った2009年放送のドキュメンタリーに、斉藤由貴、佐津川愛美らが出演するドラマ部分を加え、再編集されている。

     本作の監督は、東海テレビ東京編成部長の齊藤潤一氏。齊藤監督は、今まで東海テレビのディレクターとして、数々の「司法シリーズ」ドキュメンタリー番組を作ってきた。本作の公開に先立って話をうかがった。

    ーー事件当時(2007年8月24日)監督ご自身は何をしていましたか?

    「『光と影~光市母子殺害事件 弁護団の300日~』という殺人事件のドキュメンタリー番組を撮っていました。犯人の弁護団側を取材する内容だったので、放送後『東海テレビは被害者遺族の気持ちがわかっているのか!』とお叱りのメールや電話をいっぱいいただいたんです。それで『今度は被害者遺族の番組を作ろう』ということになり“名古屋闇サイト殺人事件”の磯谷さん(利恵さんの母)の取材に向かいました。磯谷さんが、犯人の死刑を求める署名を集めているところで、まだ裁判が始まる前でした」

    母娘の間にあったドラマ、そして家族の大切さも描きたかった
    ーー本作の制作にあたって、監督自身が涙を禁じ得ない場面はありましたか?

    「やっぱり利恵さんが拉致をされて、犯人から『暗証番号を言え』と言われるなか、お母さんのためのお家を建ててあげるためにコツコツ貯めたお金を守ろうとニセの暗証番号を言った、という事実。物語を佐津川愛美さんが演じています。一番今回描きたかった部分ですね」

    ーーどのような作品に仕上がっていますか?

    「東海地方では『名古屋闇サイト殺人事件』というのは、とても大きな事件なんです。この事件を通して、今回は家族をテーマに、利恵さんとお母さんの間にあったドラマ、そして家族の大切さも描きたかった。

    『おかえり ただいま』というタイトルにしましたけど、加害者も家庭でそんな会話があったなら事件は起きなかったかもしれないと思っています。長いこと報道の記者をしてきたものですから……いろんな殺人事件で加害者側の生い立ちを取材すると、社会的弱者が圧倒的に多いんです」

    ◆◆◆

     本作のドキュメンタリー部分では、加害者側の父親にも粘り強く取材を試みた様子が収録されている。凶悪事件の加害者となった息子について、父親は記者にどのように語ったのか? そして被害者母娘、富美子さんと利恵さんの親子関係はどんなものだったのか?

     「名古屋闇サイト殺人事件」被害者側から、そして加害者側からも感じる「家族」とは。痛ましく、胸に迫る劇場版『おかえり ただいま』は9月19日公開。

    【続きを読む】「『いつか遺族に寄りそった作品でお詫びしたかった』名古屋闇サイト殺人事件・ドキュメンタリー監督の“心残り”」

    INFORMATION

    『おかえり ただいま』映画情報
    2020年9月19日より、ポレポレ東中野にてロードショー、ほか全国順次公開
    出演:斉藤由貴 佐津川愛美 
       浅田美代子 大空眞弓 須賀健太
       天野鎮雄 矢崎由紗 ほか
    監督・脚本:齊藤潤一 プロデューサー:阿武野勝彦
    製作・著作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
    https://www.okaeri-tadaima.jp
    ©東海テレビ放送

    「いつか遺族に寄りそった作品でお詫びしたかった」名古屋闇サイト殺人事件・ドキュメンタリー監督の“心残り” へ続く

    (市川 はるひ)

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