- なんでも
- 上杉謙信
- 20/09/08 12:58:30
新型コロナウイルスの後遺症を訴える報告が相次いでいる。退院後も学校や職場に復帰できずに苦しみ、治療法も見当たらない。いわれのない誹謗中傷を浴び、絶望の淵にいる患者が本誌に“コロナの恐怖”を語った。私たちはまだ、コロナについて何もわかっていない。
「くたばれ」「シね」
首都圏に住む男子高校生、斉藤忍さん(仮名)のツイッターアカウントには、罵倒の言葉が日々投げつけられている。何も悪いことはしておらず、学校でいじめを受けているわけでもない。理由はただ一つ──。今年4月、新型コロナウイルスに感染したことだ。
斉藤さんは、感染してから1週間ほど高熱で苦しみ、入院やホテルでの隔離生活を余儀なくされた。5月にPCR検査で「陰性」とわかったため、自宅に戻ることができた。だが、症状は一進一退の繰り返し。激しい頭痛や倦怠感、のどの痛み、関節痛などに今でも苦しんでいる。いわゆる「コロナ後遺症」だ。
学校にも、いまだ通うことができない。「症状がひどいときは、ずっと横になって寝ています。携帯電話を持つこともできない」と話す。
体調が良い日は散歩をするものの、10分ほどが限度。自宅から約4キロ離れた病院へ行くにも、タクシーを使わないと通うことができない。
斉藤さんを支える家族の負担も重い。コロナは指定感染症であるため、検査費や入院費は無料だが、退院後の再入院や通院、薬剤費はすべて自費負担だ。母親が振り返る。
「タクシーだけで毎回往復5千円かかります。そのほかにも、効果がありそうなサプリメントや漢方を試したこともありました。すでに総額で20万円以上かかっています」
ツイッターで罵倒されるようになったのは、斉藤さんが自ら経験したコロナ後遺症の深刻さについてインターネットで発信を始めてからだ。
「『若い人のほとんどはコロナで重症化しない』という話が多いので、『実際はそうじゃないよ』ということを伝えたかった。それが『仮病だ』とも言われて……。僕の存在は何なのでしょうか」
ネット上で批判をしてくる人は、コロナ禍での経済活動自粛に反対する人が多いという。自粛反対派のYouTuberから対談を求められたこともあったが、「アクセス数を増やして広告料を稼ぎたいのでしょうが、切り取って編集されるのがイヤなので断りました」(斉藤さん)。
誹謗中傷のアカウントをブロックし始めると、その数は今や1千アカウントを超えた。
病院で検査を受けても「異常なし」で、処方されるのは解熱剤や鎮痛剤だけ。感染から5カ月経って回復の兆しは少しだけ見えてきたが、母親は「完治できるのか不安」と途方に暮れている。
コロナ後遺症については、すでに海外で報告が相次いでいる。
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